《月への距離、残り34400km》

              《そしてまだ 夢の途上》

 2004年1月22日、らすかるの積算走行距離が350,000kmに到達しました。
 聞きかじりのことですが、タクシー業界では、だいたいこのあたりでエンジンを降ろしてリビルドに回し、別のリビルドエンジンに載せ替えて運用を続けるのだそうです。
 そんなところまで来てしまったのか。と、素直に感心すると同時に、目標に置いてある月までの距離が、まだまだ34,400kmも残されていることを、あらためてかみしめてしまいます。
 
 折しも雑誌社からの取材のオファーをいただき、
「あなたは何を夢に描いて今のクルマを手に入れ、どのようにいじって夢に近づいていますか」
 と問いかけられました。
 最初は、林道や山道の峠の向こう側へ越えていき、その景色を見たくてジムニーに乗り換えました。それまで乗っていた2ドアハードトップのFR車では、越えられない道もあったからです。
 ジムニーはとても楽しいクルマです。今さら何故、あれほど人気があるのかを、いちいち語るまでもありません。ただどうしても遠出をするのがつらくて(軟弱者っ)、小型四駆がほしかった。
 最初のエスクードは、一人でいじり、一人で走り続けました。事実上、1600ccのエンジンは360ccや550ccのジムニーに比べて長距離が楽で、いろいろな峠と山道を越えていくことが出来ました。
 2000ccに乗り換えることで、それまで仕上げてきた1号車を丸々手放し、元に戻ってしまったらすかるを、今度は、エスクードを通して出逢うこととなった沢山の仲間たちが、数えきれないようなチャンスと、知恵と技術をどんどん提供してくれることにより、1号車に与えた僕自身のエスクード感を、まさに復元してくれました。
 つまり僕は、この350,000kmまでの間に、夢に描いたことを三つ、実現するに至ったのです。
 フィールドの広がり、仲間との出逢い。そして、“らすかる”から“すとらいくらすかる”への換装。三つもの夢を叶えられたというのは、果報者と言わずにいてはバチが当たります。
 月までの残りの道のりは、まだ予断を許しませんが、暗算でも到達日時の予測が立てられるところにあります。これが四つめの夢の実現となるでしょう。
 五つめの夢を語るのは、今は贅沢というものですね。