《月への距離、残り14400km》

 2004年6月29日。
 すとらいくらすかるの積算走行距離が、37万kmを越えました。
 海開き直前の砂浜には人影はまだ無く、海岸線には風車の林が巨大な影を落としていました。
 月軌道まで、あとわずか。熱い夏が始まろうとしています。
 
 その日の少し前、ニューモデルスクープ誌が、グランドビターラのバッヂをつけた「3代目のエスクード」の生写真を誌上掲載しました。
 一口に言えば、先祖返りをしようとしている3代目には、初代のスクエアなシルエットが見え隠れしているものの、ライトクロカンというカテゴリーから切り離され、ミドルクラスのステージに移行しようとしていました。
 まだまだダミー部分が多く、つぎはぎの情報をジグソーパズルのように組み合わせていっても、全容が読み切れない。悪い印象で見れば、凡庸というか、どこかで見た形のコラージュのよう。それでも何がエポックかと言えば、消えていくのではないかとも思われていたエスクードが、なんとか3代目へと橋渡しされる日が確約されたということでしょう。
 そのスクープに続いての、らすかるの37万キロ通過は、世界の片隅の小さな出来事ですが、流れ続ける時間の波の交差のように思えたわけです。
 

 実は交換してみて判明したことですが、約16万キロを支えてきたトライアルウイン・ストラットは、左フロントが歪んでいました。コイルとのバランスも、必ずしも適切な組み合わせではなく、らすかる自身には相当の負荷を与えていたようです。
 今回とりつけた、モンロー・アドベンチャーは、コムロさんから、ブッシュ・ナット類はakiさんから提供されたもの。そのコムロさんをはじめ、LANさん、トクさん、kawaさん、だいすけさん、SIDEKICKさんが、交換作業を手伝ってくれました(要するに遭うと労働)
 月への道のりは、いつも頼りになる仲間たちが見守ってくれています。月軌道へたどり着く日、彼等のらすかるへの愛情もまた、長い旅を成し遂げるのでしょう。
 モンローは、なるほどロードウイン、トライアルウインよりもマイルドな乗り心地。これから、らすかるの刻む航跡を支えていくことになります。