今回、反則技の極みという「突然お知らせ、とりあえずツーリングしてくるわ」な、それだけでも周囲からはクレームの嵐となった『つくばーど』でしたが、静岡からTD01Wくろかんノマドのだいすけさんが、乗鞍高原にスキーには来るけれど、スカイラインには登ったことがないということで同行してくれました。
 たぶん最後の乗鞍スカイラインツーリングはあっけなく終わり、乗鞍高原まで下って、だいすけさん紹介の温泉につかり、
「このあとはどうしますか?」
「雨が降ってきたけれど、野麦街道から月夜沢峠へ入ろうと思うの。単独だったら行かないけれど、だいすけさんとチームなら心強いんでね」
「月夜沢ですか。僕も行ったことないから行きたい」
 と打ち合わせして奈川村側の野麦街道へ、乗鞍スーパー林道A区間で移動。つくばーどの林道ツーリングの本領に移ります。


 月夜沢峠は、標高1695mで木曽郡内では最も標高の高い峠です。
 その昔、木曽福島にあった関所を通過しない、関所破りの裏街道にあたり、
現在の県道39号奈川野麦高根線・野麦街道から分け入り、開田村へ至ります。
奈川村から峠までのルートは「奈川林道」と呼ばれており、峠から開田村側を「月夜沢林道」と区別しているようです。
 ただしツーリングマップには「月夜沢林道」のみの表記でまとめられています。
 雨は降り続き、水たまりが目立つものの、ルートは最近補修をした部分もあり、高度が上がるにつれて森から谷間の道へと変化します。しかし道は霧に閉ざされ、稜線を走っていても周囲の山の様子は全く分からない。崩落の痕跡はそこかしこに見られ、ガードレールを“雪崩れに持っていかれた”路肩損壊の箇所もありました。
 岩盤が露出したコーナーを抜けていくと、道が雑草によって狭まり、薮こぎのルートに。
「どうしましょうか。この先」
だいすけさんはクロカンマスターといえども、この日は普通のラジアルタイヤ。それ以上にこちらのクルマを気づかってくれます。
「この区間、なんとなく峠まで至近距離に来てるような線形だよ。行けるとこまで行こう」
 ゴーサインで再び走り出してから400m程度で、広い平たん地に到達。やはり峠まで僅かのところにたどりついていました。「月夜沢併用林道」の道標も確認できます。が、雨と霧で遠方の眺望はゼロ。
「昔の旅人は、月明かりを頼りに峠を越えたんでしょうねー」
「林道と峠はルートも多少違うんだろうけど、まさに裏街道だったね」
 乗鞍スカイラインに焦がれてやってきたツーリングでしたが、開田村へ降りるまで、約10km以上の山越えは、この日1番のイベントとなりました。開田側は下草刈りが済んでいて楽なルート。補修用重機も入っており、ひょっとすると舗装化の動きがあるのかもしれません。いずれにしてもことしの颱風6号と7号の合間に通り抜けたツーリングでしたから、路面状態はさらに変化しているでしょう。