On The Road My road
pomeさん  TL52W 
 「あいつ、今日はなんだか照れているみたいです。目尻が下がっているもの」
 あいつとは、“On The Road号”と名付けられたTL52W。pomeさんにとって2台目のエスクードであり、ライフスタイルを支える相棒だ。2代目エスクードの顔だちは、一見すると目尻が下がっているように見えるものだが、
 「いつもこのアングルから写真を撮るけれど、普段はそんなことを感じない。だから今日は、絶対に照れているんですよ」
 この感じ方が、On The Road号に対する愛着の表れと、彼女なりの対話の仕方だ。
 それはよく言われるフシギというロジックなどではない、素直な感じ方なのである。
 「タイヤサイズの読み方を教えてくれませんか? どれが幅を示す数字で、扁平率とは何が違うの?」
 メカニズムやシステムのことは詳しくないけれど、エスクードというクルマが好き。握ったハンドルの手応え、アクセルを踏んだ分返ってくる機敏な動き。アイドリングを怠って仕事に出かけるときは、なんとなく機嫌が悪い・・・ ご婦人には「そうそう」と思われることがあるだろう、スペックに掲げられた数字ではなく、運転するときの手応えを感じて、そのリアクションの中からクルマの状態が伝わってくる。
 「機械の塊と言っても、馬と同じだと思うんです。きちんと扱ってあげなければ機嫌を悪くするし、思ったようには走ってもくれない。逆に全ての操作とタイミングが合っているときは、私自身がクルマと一体になっているなあと感じることができます。このエスクードは、私が走りたい気持ちを、今まで乗った車の中で一番受け止めてくれます」
 TL52Wの前には、TD01Wに乗っていた。当時はこのノマドが一番であったという。たとえばボディの手頃な大きさ、視線の余裕、天候の変化にとらわれない安定した走りと、四駆としての信頼性。10年近く乗り続けたノマドを新しいクルマにするとき、迷わず次もエスクードにしようと決めていた。
 意外なことに、このTL52Wは、2005年の春に新車で購入したという。すぐそこまで、3代目エスクードの登場が迫っている時期に、あえて2代目を選んだのである。
 「あら、だって2代目(後期型)はハンサムじゃないですか。私は3代目の顔つきは好きではないですし、持て余しそうな大きさになってしまった。ノマドとそれほど変わらない大きさで、積もうと思えば自転車のような大きな荷物も積めてしまう。郊外で使っているからリッター10kmは走るし、なかなかのコストパフォーマンスですよ」
 彼女の仕事は夜勤に及ぶシフトもある。夜が明ける頃に退勤して、“ハマショー”を聴きながらバイパスへ乗り出す。ここにOn The Road号の名前の由来がある。増え続けるリラックマが、ドライブのお供。時には仲間とランチに、カラオケに、買い物に繰り出す。特別な使い道を与えられたクルマではないけれど、ドライバーの操作に的確に応え、それが煩雑ならば反抗心ももたげる、愛馬のような存在だ。
 「浮気してみたいクルマもあるけど、でも、たぶん、ずっと乗り続けているかな」
 On The Roadの称号は、もうしばらくエスクードが掲げていく。