最初にここへ連れてきた日、霰はCABBOXに描かれている怪獣に驚き、隣の箱には、その次の箱には何が描かれているのか興味津々で駆けだしていた。まだよちよち歩きから脱したばかりの霙はとうていそのスピードには追いつけない。途中の井戸で一休みしたり、ジュースを飲んだりで、ゆっくりと絵を見て回った。
二度目の探検では、霰が恥ずかしがった。何だってこんな人通りで怪獣と一緒に写真を撮るの? という視線が返ってきた。それとは反対に、霙はオーバーともいえるほどのノリで、スペシウムの構えやバルタンのハサミ、あげくは「テレスドンの目」などという芸当もやってみせている。
そして2010年。井戸の存在はすっかり忘れている霙に、霰は「こうやってたんだよ」と教える。ポンプの機械的な動作におもしろさを覚える霙は、しかしウルトラのポージングには消極的になっている。霰はどちらかといえば「まあいいか」という達観の域。
所見として言えば、なんだかんだ言いながらもまともに成長しているということか。以前と変わらない怪獣たちに物差しの役目をゆだね、背丈の変化に月日を感じ、ふと周囲を見ると、街は少し変わっていた。
次にここを訪れるとき、この二人がついてくるかどうかは定かではない。すべてはうつろいで、とどまることはない。
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