季節外れの海の方が静かだ
海水浴に連れて行ったことのない父親の言い訳
 そのことを特別疑問にも思わず、
 「あんな暑い炎天下にヤケドしそうな砂浜で天日干しなんていやです」
 「しょっぱい海水を飲むのはちょっとねー」
 などと、海水浴リクエストをしてこない娘らですが、これが不思議なことに、秋口になると海へ行きたがる。泳ぐのは競泳用プールと決めて泳いでいる彼女達には、海で泳ごうとする気持ちなど全くない。単に波打ち際で遊びたいだけなのです。
 いっぺん、トップシーズンの海水浴場というのを見せてみたら、どうリアクションすることだろうと思いますが、行くか?と聞いてもいやだと言われてしまうので、夏場には海が縁遠く、オフシーズンに出かけていく。まるで“汚れた英雄の北野晶夫”(ちょっと違うぞ)
 海岸線と言えば、磯崎海岸周辺で、水平線を背景にした車の写真を撮っていたスポットにガードレールが設置され、その場に車を置くことが出来なくなってしまいました。安全対策なのか密猟防止なのか不明ながら、そこに車を停めては迷惑する人がいるのだという意思表示? 何十年も放置してあった場所なんですけどね。
 一方で、潮騒がまるで雷の音のように変わってしまった阿字ヶ浦海岸では、波消しブロックの設置が功を奏したのか、砂利だらけの海岸が砂浜に再生されました。砂の流出は、今のところ食い止められているようです。
 水平線をも打ち消してしまう波消しブロックの防波堤も、無くてはならぬと納得するしかない。たぶん、磯崎のガードレールよりも役に立っているでしょう。
 こうして周辺の海岸を眺めていくと、白砂青松という時代は昔のことだなあと思わされます。昔は貝殻を拾って歩いた。今日、娘らが拾うのはビーチグラス。波打ち際はどんどん変わってしまうようです。