《出逢いの海 アクアワールド》

 2002年3月にオープンした「アクアワールド大洗水族館」は、歴代3代目の大洗水族館にあたる。暖流・寒流のぶつかる茨城の海を“出逢いの海”と名付け、巨大水槽でその様子を紹介している。
 2003年は、大洗の港を通じた出逢いの日々が
続く一年となった。       
 仕事の絡みで、アクアワールドにはオープンの一年前から出入りしていたが、2代目の旧水族館(ちなみに初代は竜宮城のカタチをした小さなたたずまいのモノだった)と比べて、展示面積の変化は少ないように思えた。むしろバックヤードの研究機能が、より充実されたように感じられたのだ。しかし、展示フロアに魅力がないわけではない。1日は飽きずに遊んでいられるだろう。入館料の高さは気になったが・・・

 そこへ、一般客として初めて子供たちを連れて行ったのは、2003年の1月のことだ。まだらすかるのボディサイドにグラフィックがついている。木更津で事故に見舞われる直前だった。

 アクアリウムで目にするブルーは内壁への人工的な着色で、バックヤードを歩き回ると、水族館も釣り堀も関係ない色彩の、所詮は水槽。
 とはいえ、アクアリウムというものは、妙に気持ちを和ませ、その実、引き込まれていくような怖さがある。
 もちろん怖さとは言っても、恐怖の対象とは異なり、息をのむその水槽の大きさから来る圧迫感というのか。
 地べたに寝ころんで快晴の空を見上げても、空が落ちてくるとは思わないのに、巨大な水槽のブルーは、時折こちらにのしかかってくるような“怖さ”を感じる。それと一緒に目には優しい、暗闇にぼおっと浮かび上がる色調は、のししかかるのではなく包み込まれるような錯覚に陥り、総じて「引き込まれてしまう」。
 地べたから上空までの大気の層と、水槽と自分を隔てる強化アクリルの透明な壁には、心理的にこれほどの違いがあるとは。それとも、人の造ったモノに対して、いつかどこかで壊れる限界を、肌で感じてしまうのか・・・

 
さんざん言うだけ言っても、水族館のアクアリウムは楽しい。大洗の場合は、オープンスペースのウッドデッキで、のんびりと海を眺めているのもいい(しかしそのデッキの写真がない・・・)し、直接砂浜に降りられるのもいい。
 このとき、大洗埠頭から出ている苫小牧行きのフェリーを見ていて、自宅から苫小牧までは、自走距離は37km足らずだということに気がつく。所要時間の19時間に耐えられれば、遠くても近い。
 すると、ニセコの山裾に住んでいるhanapyさんから、遊びに来なさいとの誘いを受け、勢い大洗から北海道への航路が開けた。
 詳しくは「つくばーどin北海道」のレポートに譲る。
 夏休みを利用して、ニセコに出かけた子供たちは、hanapyさんのお嬢さん、はなちゃんと友達になった。
 ニセコ滞在は1日だけだったが、この年一番の思い出になった。
 ところがそれは思い出ではなく、ingなコミュニケーションの始まりでもあった。
 夏休みのさなか、今度ははなちゃんたちが、大洗の埠頭にやって来たのである。
 仲間たちがhanapyさんを出迎え、子供たちは再会を果たす。
 船出の海から再会の海に。大洗の埠頭とアクアワールドは夏の賑わいを見せた。

そして2003年暮れのこと、はなちゃんたちは再び北海道から遊びに来てくれた。
今度はつくばーど基地に直接、お泊まりに。
また遊ぼうね。
子供たちの交流は年を越える。