霰 走る!
一日千秋で待っていた日

 遂にこの日がやって来た。
 大学一年めの夏休み後半を費やし自動車教習所に通っていた長女の霰が、AТ限定とは言えども免許を取得したのである。
 我が家のエスクードに「らすかる」と名付けた本人が、その名前を受け継いだ二番機のらすかるを運転する。
 この日を19年、待ち続けてきたのだ。
 娘は娘でとーちゃんを煙たがることもせず、他の車種に傾倒することもなく、車といったらこの形、という実に親孝行な育ち方をしてくれた。
 ありがたことこの上ない(親ばかというんだそういうのを)

 だがしかし!

「お父さん、こいつステアリングずれててまっすぐ走らないじゃない!」

「ペダルに何か引っかかっててアクセル踏み込めないよっ」

 
BLUEらすかるのダメ出しを次々と言い始める。えーえー、そうですとも。今度の車検で直そうと思ってたとこばかりだよ。
 挙句の果てに、彼女の身長だとレカロの座面が厚く深くて、シートを最前部に調整してもペダルが遠いという。

「なんで年式が新しい方(対ぷらすBLUE)にチルトステアリング付いて無いのよっ」


 等等、初運転で思いもよらず散々に言われまくったのであった。