「今 福島に来ています。お待ちしてまーす」
「est estでこれから食事ですー」
時間差攻撃のように入ってきたメールは、パソコンでの受信アドレス、携帯電話への着信と、こちらの所在がどこであろうと万全を期していた。
「そういうことはさ、出る前に言ってよ!」
シャットダウンの手順もめんどくさがって、ノートパソコンのACケーブルを引っこ抜いて、ガレージのBLUEらすかるのエンジンをかける。
est estだとぉ?
1時間以内に行ってやろうじゃないか。二番機はね、まだ先代ほどに仕上がっていないけれど、今までとはちょっと違うのだよ。
ああ、ちょうどひと月前の今日、この車を手に入れたのだ。
先代を失ってからは、40日が過ぎていた。
先代が43万キロを刻んだコースを、思い出すように常磐道を北上する。二番機のアベレージは、先代を遙かに凌駕している。
「お待ちどおっ」
何分でそこへたどり着いたかは伏せてしまうけれど、前回は開店前の時間帯で眺めてくるだけだったお店で、遅いランチのお招きにあずかる。関東と東北を繋ぐ街道沿いの小さなお店は、まさしくest est est!な、おしゃれで落ち着けるところだった。
県境の町にも野山にも、秋が訪れていた。
ここは南東北。季節が少しだけ、足早にやって来ては、立ち去っていく。
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