天狗の森の山頂にある神社には、子供の頃から元旦の深夜か早朝に初詣に出かけ、お払いをしてもらっています。ここ数十年(なんだそれは)は、親父の詣での運転手だったのですが、本年から当主として行ってこいと、元旦の通行特権も含めて引き継ぎを受けてしまいました。雨が降ったりしたらいやだなあという懸念は数日間無く、無難に役目をこなせればいいなあと、除夜の金を聞きながらBLUEらすかるを動かすのであります。
 人生初の厄年を迎えているあられ、人生初の年女を迎えたみぞれも、初詣に同行です。2人とも生まれた直後の元日には参拝していますが、そんな記憶が残っているわけはなく、事実上の初詣です。
 
「えー? おととし一緒に行ったですよーっ」
 
「TB2007の最初のレポート参照!」
 
「あっ・・・ほんとだ。忘れてた・・・」
 (2年前のことを既に忘れているのか!)
 不景気のあおりを受けてか、天狗の森に登っていく車両の音がほとんど聞こえない大晦日。例年だったら街の商工会が主催する「歩く初詣の会」で登山する来客のざわめきすら届いてくるというのに、静まりかえった年越し。
 通行特権を持っているとはいえ、物理的な渋滞は回避できない一本道の表参道だけに、何時に出かけるかを判断するのが、毎年の勝負(笑) これがことしは読みにくかった。
 年越し時間帯に静かということは、ご来光時間帯に混雑するのだろうと、そこに山勘を張って、午前5時に出発し、馴染みの大駐車場まで・・・通行人も往来する車両もないという、先行き不安な往路。駐車場から先は、一般車の通行は出来ません。ここを通していただき、山頂へ赴くと、年越し時間帯の参拝者はあらかた下山したらしく、数人のご来光見物客が暖をとっているだけ。
 社務所に挨拶して御札を作っていただき、神主のお祓いを受けるのですが、これだけ閑散としていると、参拝客が一定量集まるまで待たねばならない。これは楽に上がってこられる分の代価だから仕方がないし、ことしの元旦は暖冬も手伝って、身を切るような寒さもないのが幸いです。
 ところが社務所から「雷蔵さん! お客さん来ないからお祓いしちゃおう。本殿に上がってください」と、予想外の声をかけられ、あっというまの貸し切り状態でのお祓いです。ン十年通っていて、こんなことは初めて。
 しかしあっという間のお祓いと参拝が済んでしまうと、日の出まで2時間近く、することがない。車内で大判焼きを食べながらお笑い番組を見て過ごす。窓の外は少しずつ白みはじめて、鈍色から朱に変わり、地平線がはっきりしていきます。
 一年の計は元旦にありと云うので、晦日の朝に思いついていた言葉を掲げてご来光を眺めてきました。
 安穏第一。これで今年1年を過ごしていきたいと思います。