その日、2台のニコンF4と、F601にそれぞれ異なるレンズを組み付け、コンパクトデジタルを礼服のポケットにねじ込み、手ぶれピンボケシャッターチャンス逃しなんぞやらかしたら、二度と富士の宮の町へは足を向けられないぞというプレッシャーを背負いながらも、反面「300カットも撮ればアルバム一冊分くらい、まともな写真はあるだろうし」と開き直って、浅間大社の境内に佇んでいたのであります。
 よもや、自分が、友人の挙式の朝から披露宴のお開きまで、専属の撮影班に抜擢されるなど思いもよらなかったのです。というより、「どういう選球眼をしているんだキミはっ」と言いたくもなったのが半分本音。でも、その選球眼は実に性格であり、彼が射止めたお嫁さんは「どこで知り合ったんだこのやろーっ」と、ほんとに言ってしまったほどの素敵なお嬢さんでした。
 撮影班に任じられたとはいえ、新婚直前のスイートホームに(しかも前夜だよ)泊めてもらうという前代未聞の大ばか者をやるばかりか、「明日からほいほいとは出てこられないぞ」などとよからぬ入れ知恵をして挙式前夜の夜遅くまで夜会を開いているしょーもないカメラマン(集まってくれた方々には御礼申し上げます)ですから、そんなことを知らずに挨拶してくださる両家を前にして肩身が狭い。
 浅間大社本殿での挙式は厳かに進み、俺ってほんとにここにいていいんですか? とびびりながらシャッターを切っていくわけですが、神前のこんな位置まで出張っていいのかなあと思った分、多少の冷静さは保っていたようです。
 披露宴は一転して、高台の公園にある見晴らしのよい小さなレストランに移動。市役所に届けをしてから、新郎新婦の朝の着付けもここで行われていました。レストランやブライダルコンサルタントの皆さんの手際のよいこと。裏方までもがお祝いすることを心から楽しんでいるのです。
 和やかでにぎやかな披露宴は、どんどんプログラムが繰り出され、時間とともにストロボ撮影をしない僕の撮り方には厳しくなっていくのですが、もうここまできたらどうにでもなれとにかく1カットでも撮っていこうと脂汗状態。でもしっかり料理はいただいていたような気がします。
 おお、言い忘れるところでしたが、だいすけさん、みきさん、ご結婚おめでとうございます。始まりの1日に立ち会えたことを心から誇りに思いつつ、お祝い申し上げます。
 ところで、披露宴のお開きとともにフィルムをすべて手渡し、一目散に撤収してしまったため、写真がまともに写っていたのかどうかは、今もって知りません。