|
「語学研修で留学したいんですけど」
突如、単身赴任先の携帯電話にかかってきた霹靂の電話をきっかけに、霰は2012年3月、カナダのビクトリアに2週間の短期留学を敢行するのでした。
何が動機であったのかはさておき、いくらか引っ込み思案なところのある彼女だと思っていただけに、この出来事は我が家にあってはちょっとした事件であります。
ビクトリアの3月は、日本のそれよりも桜の開花が早いようで、寒いところかと考えていた割には快適な春を過ごしたらしいのですが、現地から入ってきた国際電話の一報が
「カメラを落として壊しちゃったー」
おいおい、このために新調したコンパクトデジタルだぞ。と、電話で応急修理のレクチャーをしながら話を聞くと、ホームステイ先と学校を路線バスで行き来するのだとか。
ステイハウスは郊外の住宅地で、住宅以外何もなく、カフェやストアーは学校の周辺でなければ立ち寄れない。しかしホストマザーも日常の仕事が忙しいらしく、ステイ先ではもっぱら他の留学生とコミュニケーションして、夕食作りやら談話やらを繰り広げていたようです。
仙台、ビクトリアの時差はマイナス17時間。と思っていたら、カナダじゃサマータイムに入っていて、実質マイナス16時間の時差で、霰の短期留学は動いていました。こっちの昼時に電話をかけるのがちょうどいいタイミングで、向こうはどこで遊んでいたかというと、ホストマザーが厳格で門限が18時だったらしく、自室で勉強しているしかなかったそうです。
「いやー、2週間で英語なんかマスターできるわけないってばー。いざとなったら気迫の日本語でも意思は通じたなー」
ルームメイトはジャカルタとマニラからやってきた留学生で、ほっといても国際交流は成立したようです。このほかドイツと韓国からの学生たちとも過ごしていました。留学先が語学学校であるため、意外と他世代が通っていて、韓国から来ていた女の子からは12歳だと聞かされたそうですが、向こうからは同い年くらいかと思われたらしい。
学校は午後3時に終了するものの、そのあと語学カンバセーションに2時間参加したため、門限までに買出しやら自由に外出していられる時間はほとんどなかったとか。それでも書店やスーパーマーケットなどにダッシュして買い物を楽しんでみたり、短時間のカフェめぐりをしたり、度胸試しはできたみたいです。 |
|
|