暑さなんてへっちゃらだもん
夏休みはよく遊び、ほどよく勉強(おい)
 梅雨明け十日の猛暑とはよく言ったもので、ガレージの寒暖計は40℃にて、湿度なんかゼロ。それでも基地の庭はまだ木陰の宝庫なので、炎天下でも遊んでいられる。
 それでも暑いものは暑い。暑気払いでもらってきた、かき氷用のシロップを、ここで使わずいつ使うというのか。というわけで、台所からかき氷器を持ちだしてきた。
 「メロンとレモンを比べると、レモンの方がおいしいよ」
 「でもさー、かき氷を作るときって、お父さんなんかカルピス使ってるんだよ。あれ、なんでだろうねー?」
 「よし、今日はそれも試そう!」
 さくさくと粗めに削られる氷の山に、それぞれ好みで味付けしていくけれど、結局は全部の味を試すまで、かき氷器はフル稼働するのであった。

 日が暮れて真夏日の暑さはいくらか和らいだ。珍しく夕立も来る気配がない、風の弱い夜。
 
「花火を買ってきたぞー」
 
「待ってましたー!」
 
「その前にご飯食べなさいってー」
 
夏休みの宿題は、とりあえず半分は終わったということだ。お互い小学生の夏は今年限りだから、マイペースで楽しむのもいいだろう。8月はまだ始まったばかりだ。