季節はずれの鮪を食いに
2013年 東北探訪10年めの娘たち
 恒例の弾丸みちのく探訪も3回目。娘らを初めて東北に連れてきてからだと、もう10年の月日が流れている。
 ことしはここまでの探訪で見せることのできていない風景を追いかけようと、初日は岩手県盛岡市に向かい、満開の石割桜からスタートとなった。桜見物の観光客は出足が早いため、思いきり早朝にここを訪ね、例によって福田パンの開店と同時に(またかよ)コッペパンを買い求める。
 第2の訪問地は秋田県の田沢湖。夏に開催するつくばーどの宿泊地となるホテルの支配人と打ち合わせをする間、家族には温泉に浸かっていてもらう。支配人との対話から、彼もまたエスクードОBであることが判明する。
 今年の東北は、5月に入っても盛岡以北に桜前線が届いていない。田沢湖周辺どころか秋田市も同様。逆にルートの下見をしながら山形県酒田市役所まで南下しても、満開には至っていなかった。当然のことだが山越えする月山周辺は、つい昨日も除雪を行ったという。
 そして仙台に戻ると再び春の様相。夕食に「中華も頼める洋食屋」に出かける。要は中華屋がやっている隣り合わせた洋食屋なのである。パスタやピザ、肉料理と同時に、中華麺でも餃子でも回鍋肉でもオーダーできるが、その反対に中華屋に入って洋食を頼むことはできない。
 2日目は一路、青森県八戸市を経由して大間をめざす。季節外れではあるが、マグロ丼を遅い朝食にして、本州最北端をそぞろ歩くためだ。途中、おいらせ町の床屋さんが制作しているモビルスーツ石膏像を眺めに行くと、また作品が増えていた。
 昨日来メールのやり取りをしている娘らの友人からは、
 「一体どこをどう旅行しているのっ?」
 という返信が入ってきているらしい。
 
「まあ、こんな旅行を毎回ルートを変えて繰り返している家族もそうはいないよね」
 
「作文に書けと言われたら、書いても信じてもらえない」
 「撮った写真の日付だけが証拠だよね」
 
「来年も来られたら、津軽半島一周かなあ」
 などと話しながら夕刻、三沢飛行場まで戻ってきて、太平洋無着陸横断を成功させたミス・ビードル機のレプリカを見学。市内の喫茶店でお茶を飲んでいたら手作りラスクをサービスでいただけた。
 再び仙台作戦室で一泊し、三日目には海沿いを福島県相馬市まで南下する。まだ復興の手が付かず、荒廃した風景が残っている。出発した仙台市のケヤキ並木とは大きな違いだ。ここから少し先で、国道6号線は封鎖されている。山越えして川俣町に入り、らすかる店長が佇むコンビニエンスストアに立ち寄りして、帰路に就く。こうして迷走の6県制覇はことしも完了する。