《明日、船積みだというのに全開サービス》

モンスターミーティングで2007年パイクスピーク・ヒルクライムSPマシンを見学


 田嶋伸博さんのモンスターエスクードは、ニュージーランドで4月に開かれた「レース・トゥ・ザ・スカイ2007」で優勝を飾ったばかりですが、来月コロラドで行われるパイクスピーク・ヒルクライムラリーを前に、筑波サーキットで開かれたモンスター主催の「Monster One Make Race & Monster Meeting 2007 in TUKUBA」にてお披露目され、田嶋社長によるデモ走行が行われました。
 パイクスのために用意されているマシンは、なんとことしのニュージーランド、昨年のパイクスを征した「3代目ルック」ではなく、「XL7ルック」にまとめられております。
 えー? それじゃあエンジン自体もXL7搭載のやつをベースにしているの?
 


 2007年6月17日。筑波サーキットのパドックに降り立ってみると、XL7ルックは意外にも「収まりの良い顔立ち」で仕上がっていました。ホイルベース、トレッドとも、ツインエンジン時代のマシンより拡大され、エリオルックや2代目ルックよりも大柄になっているのですが、大きさはさほど感じられない。
 細部に微妙な違いはあるものの、全体的に3代目ルックのマシンを踏襲しているなあと思ったら、
 「パイクスは北米で開かれるレースですから、イメージキャラクターとしてXL7のほうがふさわしい。それで、フロントのデザインを“張り替えたんですよ”」
 仕様変更は施されているけれど、基本骨格、エンジンは、これまで使用していた3代目ルックを使っているのだそうです。だからXL7ルックなんだけれど、とりあえずモンスターSPエスクード。もっともこのマシンそのものが既に別物なんですが・・・
 田嶋社長は、来場者のためにマシンの見学、撮影ともフリーに開放してくれ、スタッフも親切に解説してくれるばかりか、目を輝かせている小学生の男の子をコクピットに乗せてあげたりと、サービス精神にあふれていました。
 全開(でも流しているよなあ)、ドリフトを交えた2ヒートのデモ走行を終え、マシンは翌18日に横浜港で船積みされ、北米へ向けて出航です。そんな時期に、よく間隙を縫ってまでお披露目してくれたものです。
 


 パイクスピークの全長19.984kmのコースには156ものコーナーがあり、踏み外せば一気に崖下に転落という場所も多々存在します。その辺のことは傍観者には現実味のない話なのですが、このレースのスタート地点の、標高がリアルにものすごいと思っています。
 スタート地点で2862m、156のコーナーを駆け上がってくぐり抜けるゴール地点に至っては、4300mにも達しているのです。日本の国土で言えば、スタート地点に匹敵する標高に、一般車の走れるような道路は存在しない。数年前までは、標高1684mの平湯峠から2702mの乗鞍岳畳平までの乗鞍スカイラインだけが、かろうじてパイクス(のスタート地点)に至る“高度の雰囲気”を味わえましたが、全長14.4kmの高低差はたったの1060mで、上まで行ってもまだスタート地点に届きません。
 現在の国道で言うと、昔は299号線の麦草峠が最高高度を表明していましたが、今は292号線渋峠の2172m。それ以外だと、富士スバルラインの五合目終点が2305mです。
パイクスのコースがとてつもない標高にあるということがよくわかります。
 ちなみに、世界一標高の高い道路はインドにある5602mだそうですが、世界一レベルだと諸説いろいろで、どれが本当かつかめません。まあどっちにしても、パイクスを駆け上がるマシンは半端なスペックじゃないと言われますが、コースの方も半端じゃないということですね。



 実は当初、所用でこのイベントには出かけることができなかったのですが、その所用を完了させて、脱兎の如くサーキットへ駆けつけました。しかし途中で脱走したのが家人にばれて呼び戻され、デモ走行後の田嶋さんとファンの対話や記念撮影まではとどまれませんでした。
 いや、それが残念なのではなくて、その様子はエスクード仲間のTA01Wさんが収録してくれていますので、あとから写真をいただくことができました(そちらはESCLEVサイトにまとめます)
 その写真の中に、僕が写っているモノが1カットありました。つまり、かなり至近距離にいて同じマシンを撮影していたTA01Wさんと、ニアミスして挨拶もできずに帰宅してきたことが悔やまれるのでした。
 ああっ、なんともったいない・・・