るぽ・珈琲ハウスにて
東京の文京区本郷にあるという、そのへんてこなコピーと、それを考えたと思われるダジャレ好きな店主と、さらにその店主に育てられた冒険好きの若者が切り盛りしている「カレーのお店」。
『ポレポレ』が繁盛していたその頃からもう5年もの歳月が流れてしまった。
何を今さらという、タイミングを逸した2005年夏の朝。ポレポレとして画面に登場していた『るぽ・珈琲ハウス』を訪ねると、並木道の木陰を散歩しながら、モーニングセットと珈琲を求めてやって来るお客さんは後を絶たない。
物語は過去の出来事となってしまったけれど、どっしりとしたレンガ仕上げの一軒家は、笑顔と談笑に溢れていた。
TRCS2000・ブラックヘッドやBTCS2000・ブルーラインがさりげなく駐車されていた軒先には、今は銀色の自転車がぽつんと置いてある。それはお客さんのものだろう。まだクウガという名前の自覚すら持たずに、しかし身体の変調を来しながら家路を戻る五代雄介にとっては、唯一の帰る場所であった。
鍵をなくして2階の自室へよじ登ろうとした裏手の窓は、想像以上に高いところにあるのだ。
カレーライスのそれではなく、珈琲の香りが漂う、天井の高い店内で、5年という時間の経過を思い返す。変わってしまったものと、変わらないもの。目に見える事柄と、感じること。いろいろなものが浮かび上がってくる。 |
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