桜 さくら
震災復興を願って

 2012年3月、ルミネ有楽町店が企画したSAKURA PROJECTは、47都道府県から集めた桜を巨大なプランターに飾りつけた、わずか4日間のお花見スポットでした。
 実は「エスクード47都道府県プロジェクト」というのを仕込んでいる最中で、さらにこれがあまりというか、ほとんど上手くいっていないという散々な状況のため、悔しいやらうらやましいやらで、思い立って最終日の朝一番で見物に行ってきました。
 全都道府県は確認できなかったけれど、これがプロとアマチュアの違いなんですね。
 こういった企画が、震災をきっかけに生まれたのはちょっと悲しいと思いますが、なんでもないときに立ち上げられたのでは、ただの催しにしかならないのかもしれない。
 今だから良かったのでしょう。沖縄から北海道まで、タグのつるされた桜は、冷蔵庫や温室で開花の時期を調節され、この4日間に勢ぞろいで開花するよう仕込んだものだそうですが、そういうことができるんだと知識で知っていても、実際にやってのけることがすごい。
 あるがままの自然ではなかろうという見方もあるけれど、花屋の腕前というのも、ひとつの見どころだと感じます。なによりこの仕事に心血を注いだ人々のやさしさが嬉しい。
 早朝のルミネには人通りもなく、いつまでも花の彩りを見上げていたくなるようでした。ここへ追いつく桜前線もあるだろうし、すでに追い越して行った前線もありそう。それほどにたくさんの品種が咲き乱れているのですが、復興を願う人々の思いはひとつに寄り添って、全線と共に北を目指していくのだろうと考えさせられるひとときでした。