霰は公立高校の入試には失敗している。
そこは父親も母親も同じだったので家族的には痛くもかゆくもなく、よせばいいのに2年後に霙までもが同じことを繰り返す天然の一家だ。
ところが、根は負けず嫌いの霰は、私立高校の3年間、感心するほどコツコツと勉学に励んでいた。
親の因果を蹴り飛ばし、国立大に合格してしまったのである。一族から出た初の快挙だ。しかもよりによって、祖父と父親の出たそれぞれの私大にも殴り込みをかけパスしたうえで、入学金を支払わせておきながら
「あのー、国立受かりましたので・・・」
ここからもう大慌てである。通いでは間に合わない遠隔地のためアパートを確保しなくてはならない。生活必需品もそろえなくてはならない。卒業式に休暇も申請しなくてはならないと、なんだかよくわからないうちに卒業証書授与の日が巡ってきた。
震災の年の中学卒業から市立入学のときの、ちょっとフラストレーションを残したあの時とは大違い。これを安堵せずにはいられない。
が、まあ数年後にまた卒業できるのか、就職どうなるんだの心配がやって来るのだが、今はめでたく棚上げ。 |
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