2007年の、あのとんでもなく暑かった夏は、果樹類には豊穣の実りをもたらしてくれました。寒気団が山越えしてくる直前の小春日和、ゆずの収穫で冬に備えます。

 ゆずの木は、つくばーど基地の防風林の一角を成しているだけの本数でしかないため、収穫といってもコンテナ2個分くらいでしかありませんが、例年以上の実の数。
 この重さを放置しておくと、雪が降ったら枝だけでなく幹まで折れてしまうのです。
 裏山の紅葉は半月は遅く、里の果樹園でも柿の収穫が行われており、ことしは山も里も食物に不足がないらしい。そのおかげで、ふくれみかんも豊作。基地の果樹類は、ヒヨドリに啄まれることもなかったようです。

 脚立と高枝切りの鋏で、届くところまでを収穫し、てっぺんのいいところは、枝の重みに影響のない部分だけ、鳥たちに残しておきます。いやなにしろ仕事で徹夜明け状態。
 これで脚立の一番上でバランスをとっているのはなかなか怖いのです。そのうえ、ゆずの木には堅固な棘が生えていますから、枝をたぐり寄せようとしても鷲掴みにできない。
 霰の身長も147cmまで伸びたけれど、実りの集中しているところは地上から5m以上あり、結果的に175cmの身長がないと届かないのです。
 反射速度に優れた霙とれいんさんは、切り落とされたゆずが自由落下するのをキャッチする役目。
 希にタイミングが合わず、地面を直撃したものは割れてしまうため、これらはポリエチレン袋に入れて、一時的に車の中で芳香剤代わりにしたり、布袋に入れて風呂場のゆず湯に活用します。

 台所では、ばあちゃんが皮むきと煮だし。
 鍋に入る分のゆずの実と皮と、同じ分量の砂糖を使って煮立て、ゆずジャムのベースを作ります。
 この中から実を残した皮を二皿ほど取り分け、電子レンジで水分を飛ばし、さらに天日で乾燥させ、乾ききったところでもう一度砂糖をまぶし、保存の利くお菓子に調理されます。
 皮なんか食えるのかというと、少しだけ苦みも残りますが、ゆずの風味はそのままに、甘酸っぱい保存食になるのです。
 風呂のゆず湯とは別に、飲み物のゆず湯ってのもあります。ジャムのベースを煮立てたときの砂糖まじりの煮汁を、さらにお湯で薄めて飲むわけですが、どうもジャムのベースだけに、うちのは砂糖が多すぎ。薄めても甘いだけなので、ちょっと敬遠しています。

 風呂のゆず湯は、本来は冬至の頃に浮かべるものですが、基地では一ヶ月前倒しです。暦のは過ぎていますから、もう冬の季語を持ち寄っても良い頃でしょう。