《20世紀の足跡 HONDA HUMANOID ROBOT “P3” 21世紀の足音》
 栃木県茂木町のツインリンクもてぎで、本田技研工業の2足歩行ロボット『P3』のデモンストレーションが行われました。2足歩行というテクノロジーは、特撮やアニメーションではあまりにも見慣れた(もちろんそれは「特撮」であり「アニメ」です)ものとして刷り込まれていただけに「現実の技術」を目の当たりにすると、驚かされます。
 ホンダがヒューマノイド・ロボット“P2”を発表したのが1996年末。既に小型化された後継機“ASIMO”も登場していますが、“P3”はまぎれもなく20世紀の工業製品です。が、まちがいなく21世紀を目指して開発されたテクノロジー。そして21世紀となった今、まだホンダのイメージマスコットの域ながらも、その可能性を求めて歩いていました。
 ホンダの工業技術を紹介するパビリオン、FUNFANラボが、P3のベースキャンプ。エントランスにはP2が出迎え役でたたずんでおり 『TEAM DREAM ROBO』とマーキングされたラグレイトが展示してあります(無限チューンの「SS2200」なんていうすごいのもある)。
 ラグレイトはP3の搬送車両で、もてぎから出張する際、P3は各部を折り畳んで中央座席部分に座る形で格納されるそうです。車両後部にはP3用のバッテリー等が積載されています。
 ラボ内でのP3は、専用ハンガーに吊されているのが通常の待機状態で、これはなんだか情けない姿。しかし起動し、軽やかに(足で。足、脚、と呼称して良いのかな)自立し、ひょいひょいと歩き出すと、会場で見学している大人も子供も「ほおー」とため息をつきます。
 2000年の春に一度、このラボで同じ光景を見たときには、やはり自分自身がため息をついていたものです。ヒトの形を模倣した機械が自立歩行するまでの経緯は、Pシリーズの前段となるEシリーズも展示されており、その発展経過を見るだけでも「機械を2足歩行させる」技術がなみなみならぬものだと分かります。
 つくづく、人間というメカニズムは良くできて(進化してきた)いるのだと、あらためて感じる瞬間です。 
 しかし・・・ボディバランサーの働きと、各部への負荷を軽減させる措置であるのか、やや猫背の姿勢でセンサーブロック(頭部)のみ正面を見据える立ち姿は、まるで「究極超人あーる」の主人公・R田中一郎です。これは演出なのか偶然なのか、それとも80年代のコミックが、ロボットの立ち姿が「そうなる」ことを見抜いていたのか・・・