TD01W ハンドメイド ノマド 
 エンジンが虫の息となった3型の車体に、5型のG16Aを載せ替えようとしていた。
 ドナーのエスクードを手に入れ、1人で載せ替え作業を進めていた。問題は山積していたが、そのなかでも特に、コネクターの異なる配線を一本ずつ処理していく手間と、どちらの車体のミッションも、寿命を迎えていたことだ。
 彼がメールをよこしてくれたのか、こちらが偶然、その話を聞きつけたのかは、失念している。いずれにしてもそのままでは、ノマドは、長くは走ることができない。誰か、このミッションを蘇らせる術はないものかというSOSに、仲間の1人が挙手してくれた。
 Grage.Mさんは、こうして1型のミッション一式を手に入れることとなり、車好き同士が初めて顔を合わせる。ミッションを提供してくれた仲間は「これをきっかけに、エスクード仲間の絆も手にしたと思ってください」と、笑顔で言った。
 「僕にできることなら、できる限り頑張ります」
 そう答えたGrage.Mさんは、その言葉の通り、ハンドメイドでノマドを復調させ、そして沢山のエスクード仲間のトラブルシューティングに駆けつけてくれた。
 「あの人がエスクードから離れていったことは残念ですけど、たった一度の出会いが、何かスイッチを入れてくれたようです」
 ハンドメイドのノマドは、その後も元気に走り続けてきたが、二人目のお子さんが生まれ、ゆりかごを拡張すべき日がやってきた。発展的なエスクードからの卒業を、感謝の思いを込めて見送りたい。