TA01W もーもカスタム 
 このエスクードは、Gリミテッド。Gリミテッドという特別仕様は、セールスポイントで言うと、アーバンテイストを取り入れた都会的なイメージを演出したものである。
 が・・・この堂々たるクロカンテイストは、喝采ものではないか。
 こいつと最初に出逢ったのが、のどかな春の日差しが降り注ぐ、軽井沢のプリンス大通り。浅間越えをしながら北軽井沢のオフロードコースに赴く後ろ姿は、トライアル用の異様に細いタイヤをはいて、同じ車なのに車高がまったく異なる、カルチャーショックのような異彩であった。
 「兄貴に譲ってもらったときは、普通のエスクでしたよ。それだと限界が低くて、スタックするのも悔しくて」
 もーもさんは、独自の解釈と手法で、エスクードの戦闘力を上げていた。脱出不能の限界から生還させる、ノーマル仕様のエスクードからは考えられないアタックが可能となった、しかしこれはGリミテッド。
  
 こんなエスクにはとうてい及ばない。
 自分の思考限界では、とてもこんないじり方はできないなと、2度目にお目にかかったときにいろいろなモデファイのノウハウを教えてもらいながら、別次元の車を眺めていた。
 ところが、ふと室内をのぞき込んでみると、左足が当たってしまうセンタートンネルのある部分に、らすかると同じ材質の樹脂パッドが、同じようにくくりつけられていた。
 ああ、同じことをやっている! ただそれだけのことが、妙に嬉しくなるのだ。
 「足元、狭いですよねー」
 ラテンの笑みを浮かべながら、彼はドアを開けてくれた。