2012年7月11日に登場したエスクードTDA4Wの5型は、全長や外観の一部を除き、ほぼ4型モデルと共通の基本性能を有する。
 搭載エンジンもJ24Bが踏襲され、スタンダード(カタログモデル)とハイグレード(特別仕様のクロスアドベンチャー)という、モノグレード内のバリエーション構成だ。
 このマイナーチェンジ最大の特徴は、日本国内版からスペアタイヤが排除されたこと。言わば「脱クロカン四駆」の方向性を示した。この部分は、拡大したユーザー層にとって意見の分かれるところだが、駆動系やサスペンションなどのメカニズムはこれまでの三代目エスクードの系譜をそのまま残しており、フラットダートを主としたオフロード走行能力に陰りはない。むしろSUVとしては硬派なままだ。
SUVはクロスオーバーへ
 
 実はエスクードは、ビッグマイナーチェンジと言われた3型からここまで、エンジン基本スペックには全く変更がなされていない。変速比、最終減速比もそのままである。
 それだけTDA4Wの完成度が高いということだ。大排気量のV6(3.2リッター)TDB4Wはハイパワー・トルクと滑らかなエンジンフィールに定評があったが、部品点数の多さから維持管理コストが跳ね上がる。
 TDA4Wの直4(2.4リッター)は、数字はTDB4Wに比べれば控えめになりながらも、V6に迫る快適な走行性能を実現し、実用性においては申し分ないレベルに達した。これは初代、二代目のV6(グランドエスクード以外の2.5リッター)を凌駕している。
 このような基本性能は2008年に達成しているわけだが、そこからの4年間は、目立った変更は今回のスペアタイヤ廃止くらいで、一般的な乗用車のマイナーチェンジに見られるフェイスリフト程度だ。
 しかし細かい部分での改良も進んでいる。下回りのセンサー類などのぶら下がりがなくなり、3型以前に比べてすっきりとした。
 その反面、センターメンバーの形状も変わり、ボディ側とのボルト組付部分がボルト保護のためか膨らみを持たされて、いくらか目立つようになった。ただし、従前のメンバーと比べると、強度は不明だが作りはしっかりしている。
 給油口内にも吹き出し防止弁が加えられた。給油ノズルを差し込むと開き、抜けば閉じる。これは3型の初期モデルには無い装置である。いずれも4型の登場時に標準化されたらしい。
 リアハッチのダンパーに関しては、実際には二段階程度の「トメ」が可能だ。
 だがその開口度では、中の荷物の出し入れができない。ここはユーザーの不満が正しい。開け方はユーザーが注意して行わなければならない。閉じるときには、タイヤを背負っていないパネルがこれほど軽いものなのだと実感する。
 こうした変更点は、つぶさに見ていけば他にも発見できるはずだ。
 5型は、そのスタイルの変化によって、より都会的なイメージを纏ったと言われる。それが時代の流れといえば、その通りなのだろう。
 それでも、成熟を続ける方向性は、三代目エスクードの真骨頂をきちんと継承している。
 歴代、よく言えばカジュアル、悪く言えば軟派と揶揄されながらも、25年経ってみれば初代は硬派と表現される。つまるところ、カジュアルなボディの中には、硬派で骨太の資質が、連綿と受け継がれているのである。

 

The minor change of ESCUDO/GRANDVITARA was carried out to "Type 5" in July, 2012.
The Japan edition abolished the spare tire.
It changed from the style of the off-road vehicle to the more urbane style.
However, the engine and the drive system were inherited from Type 3 & Type 4.
The track record is reliable.
It is confidence which has maintained ESCUDO/GRANDVITARA for 25 years and which SUZUKI has.
   

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