SCENES
We are constantly running at ESCUDO.
 
まるでレース漫画の世界
いやギャグではなく大河ロマン
 1600のエスクードで戦ってきた師匠が監督に退いた時、後を継いだ2人のドライバーは、まだちょっとやんちゃ坊主の面影を残す若者だった。
 1人はずっとパジェロミニでクレバーな走りを見せ、もう一人はパジェロエボリューションを振り回す。
 しかしこのパジェロエボが、師匠と同じエスクードに打ち負かされた。
 ハイパワーだけが総てではないと思い知らされた彼は、監督に同じエスクードの調達を願い出る。
 しかしそれを我々は思いとどまらせた。なぜなら彼らは向こう10年後、九州のアマチュアレースをけん引し、ひょっとしたらその上へ行くかもしれない。
 だからテンロクではなく、2000の直4を推薦した。
 彼は天性というより野生の感とファイトでエスクードを乗りこなし、常勝の地位を目指して階段を上り始め、ほぼその目的を果たしつつあった。
 その頃、クレバーな彼のパジェロミニは車両としての限界を迎え、これ以上の運用は不可能となっていた。
 そこで熱血の彼と同じエスクードを推薦した。当然のごとく彼も瞬く間にエスクードを使いこなすのだが、今度は車両がついてこられず大破を喫する。
 我々は監督と協議し、クレバーな彼にはパジェロミニと構造的に近い二代目エスクードが適しているのではないかとの結論に達した。
 彼はその凡庸なシルエットに戸惑いながらも、次々と強豪を打ち負かしている熱血を追いかけシェイクダウンを始める。
 エスクードを倒せるのはエスクードに限ったことではないが、熱血が振り回す初代と、クレバーがパイロットする二代目の一騎打ちは、それまでハイパワー四駆かカリカリにチューンしたジムニーをダートトライアルの定番と思っていたギャラリーを圧倒させる。
 そもそもエスクードという車両自体がマイナーであったからだ。
 福岡県をステージに繰り広げられているTDAダートレースにおいて、台風の目となった2台のエスクードは、県外のレース開催者からも注目されていく。
 かくして向かうところ敵なしであった初代は、二代目の後塵を浴びることとなり、そのことがきっかけで野生の感が理性の刃へと進化を遂げる。
 クレバーさは前にもまして研ぎ澄まされ、2人とも押しも押されもしないトップランナーとなった。
 しかしライバルたちも黙っているわけではない。ТDAに特化したマシンを組み上げ、2台のエスクードの前に立ち塞がる。
 2018年は、いささか分が悪いスタートを切った。
 だが彼らは熱血とクレバーのまま、自身が背負っているレースというステージへの、周囲の期待を理解するようになっている。
 表彰台をもぎ取るのは自分のためであり、自分のためではないと。
 チームとライバル、ギャラリーが一丸となって開かれる、一体感にあふれたモータースポーツ。それはアマチュアレースだからこその醍醐味かもしれないが、商業的に興行的にはまり込んでいく競技が増えていく中、彼らの走りには周囲の目を釘付けにする熱が失われていない。

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