ESCUDO 
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フロンティアを往く宿命
培われた技術の集大成
 すべてを一新する。
 それが三代目エスクードに与えられたテーマ。ミドルクラスへと車体をサイズ拡大し、ビルトインラダーフレーム形式をとりながらもモノコック化に踏み切った。
 駆動系はFRベースのままフルタイム四駆へ進化し、モード切替でローレンジも使いこなせる。さらにESPをはじめとする先進デバイスを取り入れ、世の中がクロスオーバーSUVとして商品の合理化を進めていく中、質実剛健なSUVの位置にとどまろうとした。
 それはディスクブレーキ化を果たしてもドラムを内蔵するという目立たない部分から、走破性確保に対してデバイス以外に機械式LSDを組み込んだ多重性能にも表れていた。
 もちろんそれらの機構は型が進むごとに整理されていくが、これでもかというほど過去の四駆の在り方を見直し、乗用車方向にシフトしようともエスクードとしての新機軸をもたらす開拓精神にあふれていた。
 三代目にとって不運だったことは、満を持して乗り込んだ北米市場が世界的な不況のあおりを受け、そこにエスクードならコンパクトで経済的だからという、ミドルクラス参入の方向を曲げてでもコンパクトさ=経済性をアピールしたものの、かの地のユーザー層がアメリカンビークルを見捨てなかった読み違いを受けてしまったことだ。
 開発時にはよもや、北米市場撤退が待ち受けているとは思いもしなかっただろう。ヨーロッパにおいては肥大化したサイズが疎まれ、日本ではすでにクロカン四駆の地位は過去のものとなっていた。
 モノづくりとしては過去最高の商品を生み出した。スズキの百余年の歴史において、660ccの軽自動車主体から、3000ccを越えるフルラインを果たしたのがエスクードなのだ。 
 しかし出荷数が減少したとはいえ、三代目は歴代同様長いモデルサイクルで市場を守り続けた。四代目は時流を読み取りドラスティックな変化を遂げたが、オフロード・ラフロードを走れる本格的な性能に何が必要であるか、それを追求し、自動車という商品において品質を飛躍的に向上させたのは三代目の仕事でもある。
 辛辣なことを言えば、すべてを一新するために、エスクードは多くのものを失ってもいる。
 それは初代にあったライトウエイト、キュート、ニッチと言われようとも他になかった斬新さだ。しかしそれらと引き換えに得た品質や技術は、この世代でしか享受できない。 

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