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歴代最小排気量の1400ターボ
実用行では必要十二分
  機種記号が1600のDBAからCBAに戻された。1400ターボはA1S。マイナーチェンジというかモデル追加だったのか、しかしターボの登場によってNAの1600はカタログ落ちした。
 エンジンは機種記号がK14C。バレーノやスイフトに搭載されている3気筒1000ccの直噴ターボ(K10C)を基に4気筒化されている。
 ハイオクタンガソリンを使う海外版に比べて出力は4馬力ほど下がった。国内仕様にレギュラーガソリンを選択したことで、経済性に考慮した。しかし後にフルモデルチェンジしたスイフトスポーツにハイオク仕様が載ってしまうことで、エスクードのフラッグシップ性は薄れた。

 Autoモードのなめらかな発進加速は、ダウンサイズされた排気量よりも車体全体の軽量化を感じさせる。さらに初代の頃とは隔絶の世を思わせる室内の静かさ。これはオールテレーンやマッドを履かせることの多かった三代目までとはジャンルを異にした世代であることをアピールしてくる。
 Sportsモードに切り替えると、それはさらに顕著となる。パワフルな加速は高速道路の長い登坂区間をぐいぐいと引っ張る。タービン自体はきわめて小型のユニットのため、回っているのを感じさせない。このあたりが今どきのターボなのか直噴エンジンの性能か。高回転域から爆発的な加速に入っていた昔のターボとは無縁のスムーズさだ。
 もっとも、レギュラーガソリン仕様だからという以前に、設定が実用向けであり、高回転と言っても5桁まで回るようなエンジンではない。だからこそJ24Bなみの太いトルクは期待でき、NAに比べると燃費は落ちるものの排ガス対策としてはこちらの方が将来の向上可能性も持っている。
 四代目の1600NAモデルではどうだったかと言えば、このようなシーンではエンジンがよく回る分、粗削りな性格を見せていた。乗用車としてみれば、それらの分野には真新しさはない。エスクードというブランドゆえの不思議な感触。前走車が現れればスムーズに減速して車間距離を確保する。
 
 高速道路を降りて山岳道路を駆け上がる。Sportsモードのまま、良く回るエンジンに加え、古いエスクードと比べて重心も低くトレッドが広いためコーナーでもぶれない。背中を押しだされる感覚は失われ、引っ張られていくフィーリングはやっぱりFFベースだ。ただ、三代目比400kgもの軽量化が功を奏するのは登坂において。下りのワインディングでは小排気量化されたせいかエンジンブレーキが効かない。硬めだと言われているフロントサスペンションもフットブレーキによる制動時はそこそこフロントボトムする。

 それにしても、シートポジションからして「四輪駆動車」ではなくなったことを自覚しなくてはならないのだが、後方視界は先代以上に悪い。三代目までの「スペアタイヤが視界をスポイルする」などというまことしやかな批判は何だったのか。もっとも三代目後期型から廃止されたスペアタイヤについて、このモデルからオプション選択してラゲッジスペース内に収納てできる(その機能は1600の頃からあった)ことが明確化されたのは良いことだろう。

 200キロほど走っていた個体を借り受け、残燃料は計器上で半分程度から260キロ試走して給油した結果は30リットル。2名乗車、エアコンを常時使用していて、平均燃費表示は16キロ。正確な燃費は不明だが、歴代どのモデルよりも良い。これは高速での遠乗りにも依存した数字だろう。
 ここまでで思い出すのは、初代がテンロ直4クから2000のV6にに格上げされたときの、V6の完成度だ。より安定的な成熟には2500へのボアアップが必要だった。今回の1400は新鮮であり良い出来だが、おそらく完成度の域は1500ccであろう。このユニットはひょっとすると、K15Cへの進化があるのではないか?
 ただ、そのユニットがエスクードのために用意されるかどうかは定かではないが。

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