ESCUDO 
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斜めに見なくちゃつまらない
いつまでも珍車としか書けないの?
 1993年の東京をはじめとしたヨーロッパ各地のモーターショーでは、コンセプトカーとして高く評価され、2年後に市販に踏み切ったが、奇抜すぎてユーザーがつかなかった。
 国内では1348台が出荷されたという。
 確かに売れていない。が、当時はエスクードそのものがノマド系で売り上げを立てていた。
 X‐90をお荷物と言ってしまうよりは、年間700台程度の特別限定車だと考えれば、帳尻も合うのではないだろうか。
 極論を言えば「エスクード・林道こまちリミテッド」だとか「エスクード・エスプレッソ」といったはったりを盛り込んだ販売戦略を仕掛けるだけの余地はあったように思える。

 2シーターのクーペ。それがRVのカテゴリーであったこと。バブル経済が崩壊していたこと。いろいろと要因はあるかもしれないが、乗り手を選ぶクルマというハードルの高さに対して、せめてG16Aにツインカムのヘッドでも奢られていたら、状況は変わっていたかもしれない。
 いまさら売れ行きが悪く2年程度で廃盤となった過去を論じてもせんないことだが、クロスオーバーSUVという先見性を見抜けなかった市場側の臆病さを指摘する視点が抜けたまま、失敗作だの珍車だのとしか紹介されない境遇を作り出す現在のファニーカー論には、憤りを禁じ得ない。
 昨今の自動車デザインの流行を見ると、様々な制約に縛られながら、打開策を見出している。だが結果、格好を追求し獰猛な顔立ちが散見され、押し出しの強さが人気を博す。
 そのような強面よりも、X‐90のどこか間の抜けた愛嬌の方が、運転するにも余裕が生まれようというものだ。

 しかし愛嬌だけで完結しているわけではない。エスクードのコンバーチブルとは異なる、Tバールーフとタルガトップを組み合わせたトランスフォームと、彼女あるいは彼氏以外は乗せないよという毅然とした乗車定員。
 シングルカムではあるものの16バルブもあればそこそこに走るしい、ざとなったら四駆に切り替えが効く。
 実はけっこう贅沢なものを持っている。
 コミューターとして割り切りスニーカー代わりに乗りこなす。バブル景気のさなかだったら引く手あまただっただろう。そしてそれは今でも、なかなか贅沢なライフスタイルなのだ。 

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