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奇跡の1台に巡り会う
「のんたん」から「文吉」へ

手放したことの後悔が深い愛着を醸成する

 


 最初のノマドに出会ったのは2003年頃のこと。

 「三菱のブラボーに乗っていたんです。出かけた先で故障して、最寄りのディーラーに持ち込んだけど再起不能だと言われて」

 意気消沈して帰宅し、気を取り直し、四輪駆動車に乗ってみようかなと考えて始めた。

 「そのときは赤いチェロキーがイメージでしたけど、近所の自動車販売店の前を通りかかったら、なにこれかっこいいじゃない? って四駆を見かけて。それがエスクードだったんです」

 しかしその個体は黒だった。赤い四駆、そこは譲れないとインターネットで探し始めて見つけたのが、当時埼玉県桶川市のフジ・オートに出品されていた5型の4ATノマドだった。ノマドだから、「のんたん」と名付けた。
 それがyukieさんとエスクードの出会いだったのだが、「のんたん」とは7年ほどの主従関係で、他社のSUVに乗り換えることになった。他社SUVは乗りやすかったが、なんとなく頼りなさが漂い、気がつけばラジアントレッドマイカのノマドが鮮烈な記憶を宿していた。
 もちろん手放したノマドを買い戻すことはできない。
 でもできることならもう一度、と思いを募らせていたところへ、長野県に同色のノマドがあることを2016年に見つけ出した。とりもなおさずその中古車を扱っていた店へ赴き、その場で買い取ることを決意した。
 だが、そこにあったノマドは4型で5MT車だったのである。yukieさんはAT限定免許だった。

 「もう『待っててよ、ノマド!』です。教習所に通って免許の限定を解除している間に渡辺代表(フジ・オート)にノマドを回収・整備していただき、新しい免許と私の街のナンバーを取得して練習開始しました」

 運転歴は20年を超えるがMT扱いはまだ1年弱。yukieさんの住む街は坂の多い郊外だから初めての冬を乗り切るのはどきどきものだった。

 「こんなことは基本なのかもしれませんが、使いたいパワーを必要なときに選択できるMTの運転は楽しいですね。AT車のときよりもクルマが手足になってくれる感じがします」

 yukieさんが今、街を走らせているノマドは「文吉(ぶんきち)」と呼ばれている。その由来を尋ねると、前のオーナーの名前らしい。その響きをたいそう気に入ったyukieさんは、そのままノマドに「文吉」と命名した。
 古来、自分のクルマに名前を付けるエスクード乗りは、重度のエスクード熱にかかっている。yukieさんは間違いなくその1人だ。
 最初のノマドを手放したことが後悔として残った。けれども最初のノマドは「赤いボディの四駆に乗りたい」願望を果たしてくれただけでなく、2番目のノマドにより深い愛着を引き継がせる役目を担っていたのだろう。どちらのノマドが奇跡の1台であったのかは、この際、答えを求めるのをやめておこう。


 フジ・オートでの取材当日、女性ユーザーのエスクード乗りが集まり、yukieさんとのエスクード談義に加わった。エスクード婦人会はフジ・オートでは初めてのことだが、店頭で居合わせたユーザーたちが渡辺代表を囲んでコミュニケーションしている。
 ESCLEV 事務局にも「フジ・オートさんの紹介で連絡差し上げます」というメールが時折着信する。この小さなお店には長く乗り続けたい車を預けても良いというユーザー間の共通認識がある。
 yukieさんのような乗り継ぎニーズはちょっと珍しいが、それに応えるべく渡辺代表もエスクードの対話には笑顔で聞き入っている。


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