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2台と無いカスタマイズ
歴代の魅力を引き出す
 コムロさんのエスクード歴は90年代、初代1型ハードトップから始まる。
 このエスクードを知っている仲間は誰もいないが、既にイタリア・オートエキスポのグリルガードやキャリアシステムを独自に入手し、ラリーレイド仕様にコーディネートしていた。

 この1型を足掛かりに、V6‐2000のノマドにスイッチし、純正パーツ以外のコーナリングランプやサンルーフなどを取り付け、限定車にも特別仕様車にも存在しない、しかしまるでプロショップがまとめたデモカーのようなエスクードが出来上がる。
 彼の四駆に関する考え方は、厚みのある大径タイヤを用い、それに合わせたサスペンションで車高を上げ、見たい目にもしっかりとした出で立ちだった。日産の海外モデルであるミストラルなどがひとつの理想に掲げられていた。

 このポリシーは、次に所有したグランドエスクードにも引き継がれる。
 グランドエスクードに関しては、キャンプツールなどのペイロードを確保し、車中泊にも対応できる機能性を求めた。FISリミテッドを選択し、2代目エスクードの中でもフェイスリフトされたフロントデザインを重視し、エンジンフード上のバグガード以外は架装を控えめにしている。

 エスクードは代々、カスタマイズパーツが少ないというユーザーの不満がついて回ったが、無い物はイメージし活用できそうなものを探し出す楽しみを、コムロさんは実践している。
 その知識や情報はどこから得られるのか。
 それはこまめなリサーチと資料集めに他ならない。海外モデルのカタログやミニチェアをはじめとするグッズ、ノベルティに至るまで、コレクションアイテムの数は枚挙にいとまがない。
 エスクードで街を離れ、アウトドアフィールドで過ごすための様々なツールも、目的ごとに積み替えられる。

 そして2018年、三代目の最終型クロスアドベンチャーに乗る現在、日常はスタンダードなルックで走りながら、野山に赴く際はエスクード側の事情で廃止されたスペアタイヤを、ルーフラックに括り付ける。
 都会的なセンスの中に、ある種の、厭味にならないヘビーデューティーなテイストをもたらすエスクードとコムロさんの姿は、かつて野山から街へ連れてこられた四輪駆動車を再びフィールドへ戻してやろうとする、ブリーダーのようでもある。
 

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