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わざと自虐的に揚げてみたけれど、それは季節の際立つ様をそのまま感じ取ることができる、オートバイにちょっとだけ似ている。デッキトップとリアスクリーンを外してしまったら、その効果は絶大だ。そしてオートバイと決定的に違うところは、そのカタチががらりと変わってしまうところ。
1台で二度面白い。それがコンバーチブルの醍醐味だ。
スズキエスクードが世に送り出されるとき、デザインワークの基本となったのがコンバーチブル。デザインを担当した片岡祐司さんは、別項「エスクード誕生物語」にて「オフロード色を廃して云々」と綴っているが、コンバーチブルであること自体が当時の四輪駆動車たる条件の一つとして刷り込まれていると感じられる。
それは紛れもなくジムニーでありジープに通じるテイスト。見ただけでそれと解るAFVに羨望の目を向けた世代のものの考え方が、その頃の四駆にはあるようだ。
視線の先に軍用車両が置かれていることと、軍用車が防弾性を棄てた幌仕様というスタイルであることには、僕は否定的な見解を持っているが、そういうものをレジャービークルに持ってきてしまう戦後の高度経済成長の証しととらえれば、僕自身もその一人だ。
ましてやそこに「キュートでスタイリッシュ」という、一歩間違えれば大失態になりかねないコンセプトを付加する冒険心。昭和の終わりがいかに豊かな時代であったかを、このエスクードは投影している。
しかしそれらの理屈はすべて後付けだ。
乗ってみればいい。
街から野山まで颯爽と駆け抜け、揶揄されているほどやわではない走破性と軽快さが約束されている。
いまどき、こんなに面白いクルマはそうそうあるものじゃない。 |
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