上品でマイルド
それでいて低回転から強いトルク
 YEA1S、エスクード1400ターボの試乗をしてきた。
 今まで他メーカーも含め全く違う車を乗り比べて「あーだ、こーだ」と思うことはあったが、YE21S、同メーカー同車種の1600NA(テンロク)を普段から乗っている私としては、今回のざっくり言うとエンジンのみ違う車に乗れたことは初めての経験であり、非常に興味深かった。

 エクステリア、インテリア共に外観についてはカタログで分かるようにデザインや色の変更のみで、やってしまおうと思えばグリルやホイールをそのままテンロクに流用できる。正直ブラック塗装のホイールは実物を見て興味をそそられた。
 メーターやエアコン吹き出し口の赤いリングは「そんな志向のクルマじゃないだろー」と思うくらいのスポーティな演出と感じてしまい少し違和感を覚えたが、ステアリングやシートなどの赤いステッチは、ほぼブラック一色の内装にスパイスを与える感じで私好みだ。

 さて、今回の試乗はディーラーに無理を言って高速を通るコースをお願いした。
 一般道の法定速度では得るものはさほどないと思ったからだ。
 終わってしまえば、距離にして約40km、試乗だけで1時間という心行くまで1400ターボを味わうことができた。
 その走りをテンロクと比べ、一言で言うなら「上品でマイルド」。
ターボの「タ」の字も感じさせないし、ダウンサイジングしたとは思えない走りだった。
 スズキが謳う2000㏄並みというのは数値上のことだが、試乗したときはテンロクと同じ感覚で踏み込んで同じレベルの走りを見せてくれた。
 ただし、普段テンロクにはほぼ私一人で乗ることが多いが、この試乗は私より大柄な男性一人の営業マン付きだ。
 それでいてテンロクと変わらない走りということは、一人乗車では言わずもがな、ということだろう。ここに、ダウンサイジングしてもターボが加わるということは、テンロクレベル以上の恩恵を受けることができる。

 私の所有車歴は非常に乏しく、グランドエスクードに約10年、それからスズキのパレットに5年弱、そして今のテンロクだ。それ以前の若かりし頃の所有車はどんな走りをしていたのかは全く覚えていないので割愛するが、その3車種ともにNAである。
 ターボ車といえば友人が峠を攻めるために乗っていたスカイラインやインプレッサに同乗したくらいで、タービンの回る音が更なる走りを搔き立てるくらいの印象だ。
 そんな偏見のまま今回の1400ターボに乗ったものだから、違いは一目瞭然。
 昨今流行りつつある「ダウンサイジングターボ」というフレーズは良く聞いていたが、「ダウンサイジングしてもターボはターボでしょう?ウルさいんでしょ?」と思っていた。
 ターボといえば高回転からタービンが回る印象しかない、最新技術の変化についていけてない私みたいな人が乗れば、「どこがターボだ??まるでCVTみたいだ」となる訳である。
 低回転から強いトルクを発生する新開発のブースタージェットエンジンに遮音技術が相まってなのか本当に静かで上品な走りだった。
 
 高速道路では「SPORTS」モードで走行したが、テンロクのそれと比べ踏み込んでもエンジン音が静かな印象。
 高速道といっても田舎の高速道で対面通行だったので、あれやこれやと試すことはできず、踏み込んだ加速の幅は60km/h-100km/hまでだったが、明らかにテンロクと違う。
 テンロクはSPORTSモードに切り替えるとエンジンがいきなり暴れだす感じだが、1400ターボはそこまでの印象は受けない。
 踏み込んでもマイルドな走り。悪く言えばテンロクがエンジン音がうるさく粗い。周りの交通状況や営業マンとの話に気を取られ、加速時にタコメーターまで見てなかったのが痛恨の極みだが、加速の体感の違いはしっかりと感じることができた。

 4代目エスクードも登場して丸2年を迎え、私のテンロクも初期ロットで納車していたため、現在積算で35,000kmを超えている。タイヤもヨコハマのジオランダーSUVで純正よりも若干オフ寄りのタイヤを履いている。
 この経年劣化やタイヤの違いによるトラクション増など、同じ土俵でのインプレではないが、それを加味してもカタログ値だけでない、体感で違いを計ることができた。
 ダウンサイジングしたことによる税金は年間で、レギュラー満タン約1回分の差額はあるが、燃費が若干落ちていることでその差額が縮まる可能性は否定できない。
 しかし、それ以上に2000㏄並みとはいかなくともテンロク以上の走りを満喫でき、走りにストレスが減った分乗り方次第ではレギュラー満タン1回分をあわよくば維持できるのはないか、そんなプラス思考になってもおかしくない、1400ターボだった。


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