意外に粘るlockモード
ただし好き好んでやるのは自己責任
 オフロードの定義をどこに置くかで、この課題は解決もするし迷宮入りもする。
 オンロード用のタイヤ、長めのフロントオーバーハング、小さいアプローチアングル、むき出しの樹脂製燃料タンク。185mmしかない最低地上高で、侵入できるオフロードなど限られている。
 では、限られた範囲内の未舗装路で、どこまで走れるものなのか。
 今回はここに軸足を置いている。
 ESCLEVの仲間たちを案内してきた、事務局R自宅裏山の林道は、深入りしなければ初心者を周回させられるルートがある。しかし初心者には難易度もそれなりのステージだ。今回の場合、初心者とはドライバーではなく車両のことを示す。
 緩い、登坂とは呼ばない登りを進み、鋭角ターンで藪気味で土ベースの急傾斜に上り、出口は下りながらТ字路を左折させる。そのあとには粘土質の地盤から漬物石大の石が顔を出し、切り通しを抜けると進行方向にいくらか段差のある下りが待ち受ける。
 この周回だと、オーバーハングの長い鼻づらでも段差は問題ない。左サイドをどの程度こすってしまうか。粘土質の地盤でタイヤが空転した時、オンロードタイヤが切り抜けられるかが心配事ではある。
 
  性能的にハンディキャップを持つ場合、最大の武器はドライバーの車両感覚とライン取りだ。よけられるギャップや石はよけて通ればいい。
 鋭角ターンはFFベースならどうということはないが、タイヤのせいで登れないことを考慮し、一度通過して車の向きを変え、登坂に正対して侵入した。まあここで早々と退散だろうと思っていたのだが、オンロードタイヤながらそこそこ土をつかんで登ってしまう。
 あまりにも調子よく登ってしまい、写真を撮り損ねる始末だった。下りに転じるピークでも下腹をこする気配はなく、無難に出口も左折できた。
 しかしその先の切り通しから左コーナーにかけて、枝打ちも適当な杉の倒木が右手に転がっていた。これは・・・3代目エスクードの車幅だったら通れない。
 が、意外にも4代目のダウンサイズが効力を発揮し、ここはぎりぎりでクリア。通過している最中、姿は見えないが元気のいいジムニーに間違いない排気音が複数聞こえてきたので、コーナー出口の広い路肩で待つ。この間、エンジンを停止させたのはミスであったことにあとから気づくが、最後のハードルとなる、それでもモーグルとはとても呼べないレベルの段差の下りに入る。
 案の定、左半身がずり落ちていく。ここで誘導を手伝ってくれたジムニー乗りが「四駆切れていない?」と指摘。
 エンジン停止によって、ALLGRIPはlockモードを解除してしまう。ルートにはautoモードで侵入していた。だがこの傾斜レベルの段差で下り。落としてしまった方が話は早い(人のクルマだと思ってひどいことをさせる)
 当然、左サイドを瞬時こすりつけるが、ダメージはない。あとはアクセルワークとステアリングの維持。4代目は大事に至らず下りきった。

 あらためて4代目の足回りを見ると、ショックアブソーバにはそれなりの長さがあるが、コイルは悲しいほど短い。明らかにフラットダートレベルにしか対応できない。
 さらに気になるのは、3代目同様にタイヤハウス内部が樹脂でカバーされ、空いた穴からストラットが突き出ている構造。この穴が大きすぎる。
 新潟県ではここから湿った雪が侵入して塊を作り肥大化して、この手の構造の車両はカバーを内側から押し続けられ破損した事例が多いという。フロント側下部にも広範囲の樹脂カバーが取り付けられているが、雪と泥は大敵となりそうだ。
 4代目に便宜を図るならば、今回のテストは十分に及第点をあげられる。それでも限界は高くはない。そのことは熟知しなくてはならない。車を壊し、他者に迷惑をかけては元も子もないのである。尚、今回進んで誘導にあたってくれたジムニーユーザーに、この場で感謝申し上げたい。
   


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