EXCALIBUR
つくばーどカスタムの原点
 すとらいくらすかる。その原点がこの89年式ヘリー・ハンセンの最終的なカスタム化にあたる。
 スタイリッシュなボディを纏ったという点ではハイラックスのサーフや、86年に登場した日産テラノの方が先達だと考えているが、エスクードはプラットホームの設計、エンジンそのものも独自の機種からスタートしたことで、デュアルパーパス4WDのパイオニアと言って差し支えないと思う。
 そして汎用品だけではなく、エスクード以外のボディーには取り付けることが出来ない専用設計のパーツ類に恵まれたことも、初代の根強い人気につながっていく。
 オートエキスポのグリルガードは、パイプ仕上げのカンガルーバーのような従前の四駆然とした質実剛健な形ではなく、エスクードのフロントラインに合わせて設計されており、鋼材を軟質樹脂でコーティングしてあるところが特徴。
 アンダーガードは泥の詰まりを避けるために格子状に組まれたプレートとなっている。太いブッシュがここに刺さると動きがとれなくなるが、ストーンガードとスキッドプレートとしては機能を充分に果たした。
 ヘッドライトガードの2本の水平フィンは、こんなものでは役に立たないと思えるほど華奢な作りだが、意外と小石を跳ね返す柔軟性があり、ヘッドライト自体が飛び石で割れることはなかった。むしろバンパー上に並んだ補助灯の方が破損することの方が多く、常に予備を用意しておかなければならなかった。
 このグリルガードやキャリア類は、当時は存在しなかった2000ccモデルを前提としては考えられていないが、取り付け位置を観察することで、2000ccにも装備が可能であった。ただしキャリアに関しては、TD系のロングボディーの屋根構成とは合わず、リアフレームを簡略化したTD系専用を選択しなくてはならない。
 パーツ類はディーラーオプションの取り扱いだったが、構造変更を必要とした。最近は取り付けたままの車検もスルーである。ただしドライビングランプ、フォグランプはヨーロッパ法規に合わせた配線キットとなっており、ハイビーム時にしか点灯できない上、そのままでは個数オーバーで車検が通らなかった。
 この頃はけっこう乱暴なことをしており、フォグはフォグだけを、ドライビングはドライビングだけを、独立して点灯できるように配線を組み直してしまった。キットに付属していた配線図も、なんだかその場で書いたようないい加減なものであった。写真を見ると、イエローランプのフォグを外側に配置しているが、取り付け説明書では、これは内側に装備させるらしい。
 
 こうして振り返ってみると、エスクードの登場時は、確かにオンロードとオフロードのニーズ比率として、オフロード仕様にまとめていくパーツ類や、演出が盛んであった。
 今でこそルーフボックスを普通に載せているわけだが、この頃はまさに箱をストラップで無造作にくくりつけ、ステッカーをべたべたと貼って箱を飾り付けていた。

 ところで、「エクスカリバー」というケレン味に満ちたこのネーミングは、イギリスとフランスの間で醸成されていく「アーサー王物語」の聖剣のことである。
 言葉の綴りについては、フランス語圏の「Escalibor(エスカリバー)」に基づく。
 ウェールズの古い伝承によれば、「Caliburnus(カリブルヌス)」と呼ばれていた剣が折れたため、これを鍛え直し、「鍛え直したカリブルヌス」という意味に転じ、「ex Caliburnusあるいはex Caliburn」と呼ばるようになり、それが誤訳を重ねていくうちにエクスカリバーへと変遷している。
 素体のエスクードをカスタム化し、鍛え直したという意味を込めて、エクスカリバーと呼んでいたが、なんとも臆面もない・・・