SOHC8バルブで5MTの個体を7年で12万キロほど乗ったが、1型特有のテールブレイクな挙動に悩まされつつも、それなりにトルクのあるNAエンジンは、ハードトップならではの軽量さによって(このときはノマドそのものが存在していない)、非力といっても苦痛ではなかった。
 この個体で最高の燃費は、リッター14kmだったが、それは後に知り合う仲間たちにとっては常識的な数字で、16バルブ仕様のエスクードでは、リッター16kmを走らせるドライバーも出てくることになる。
 故障らしい故障はなかったが、ヘリーハンセンリミテッドのコーディネートの中で、イエローバルブのヘッドライトだけは、実用的ではなかった。
 これは通常のH4ホワイトバルブに、クリアイエローのガラスキャップをかぶせたもので、光量が著しく落ちるうえ、ガラス自体の厚みもなく割れやすかった。
 キャップはかぶせてあるだけのものなので取り外してしまった反面、今度はフォグランプが未装備という点が不便を来した。
 当時のエスクードは、バンパー上部に補助灯をボルトオンする手法か、構造変更を伴うランプステーを台座とすることで、オプションが用意されていた。
 意を決してランプステーを発注に出かけたところ、オートエキスポの新規パーツがリリース予告されており、そこにグリルガードやヘッドライトガードのシステムに組み込む補助灯類の予報が掲載されていた。モーターショウにエスクドームが出展されるよりも1ヶ月ほど早かったと記憶している。
 タイヤは195SR15という乗用車的な表記だった。ブリジストンのデザートデューラー682が専用装備されていたが、今で言うオールテレーンにはほど遠いものであった。ダンロップに履き替え(しかしAT1さえも出ていなかったため、選んだのはグラントレックTG4)、オフロード仕様というよりダート専用に仕上げていく。