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不測の事態によって大破したオジロを回収したHUSKY本部は、その善後策に追われていた。
エンシューの工廠では、オジロの母体となっているDAA−MR41SのXナンバーを廃止し、JStyleシリーズをWondererへと仕様変更し全国配備している。それを踏まえFlimitedシリーズもタフワイルドへ鞍替えするなど装備の換装があわただしい。
これは近い将来、機種全体の代替わりが示唆されているとみなすべきだと、HUSKY本部は分析した。
だがオジロの運用部門はそれらの装備充実を認めながらも、趣味趣向の面で新型への移行を最良の案とはしなかった。
オジロにはオジロ独自の足回り強化や剛性補佐を施すなどの地道な手を加え、伸びしろを活かすべきとの結論がなされた。
かくして、ペイロード増強のためのルーフレール設定と、駆動系を後輪にまで及ぼし登坂力と走破性の向上が行われた。
再び姿を現した赤白の車体に、一同「やあ、またオジロですね」と口にしたことで、個体コードは「ヤマタノオジロ」と命名された。
嵐田霰 |