走り、曲がり、そして食う!
team KARUISAWA アイアンストマックツーリング

 梅雨時の軽井沢は静かでいい。
 雨も霧も、こちらの予定通りに、立ち去るのを待ってくれていた。
 team KARUISAWAの面々との待ち合わせの時間まで、碓井の旧道を貸し切りで走り、曲がり、佇んでは雨に煙る景色を眺める。
 しかし峠を越えれば、今日はアイアンストマックツーリングが待ち受けている。いや、峠を登っている時点では、それが言うほどに過酷なツーリングになるとは想像もしていなかった。

 aringoさん、Le gitane blueさん、maguzoさん。
 彼等がウワサのteam KARUISAWA。ついでにこの日、羅須軽党軽井沢班というのも、この面々によって設営された。
 「羅須軽党ですから、最初のお店は隠れ家で」
 というノリで案内していただいた喫茶室は、確かに隠れ里のような場所にあって、迷宮のような空間に、静かな時間が流れていた。
 これもまたオーダーを迷わせるような豊富なメニューと、うならせるボリュームの料理。お茶のようにおかわりをしたくなる珈琲。
 ゆっくりと、ゆっくりと。時間を忘れてとりとめもない対話が続く。
 まだ、ここが前哨戦であるという意識はない。


 一軒目は、早い昼食にしてもなかなかの満腹感を味わうことができた。
 「では、いよいよ話のタネのスイーツへ行きましょうか」
 しなの鉄道の駅前にある、怪しげな古びた喫茶店へと河岸を変える。ここもまた、何が何だって? というほどの組み合わせのパフェがオーダーできる。
 「でもね、自分のおなかの具合と、パフェの内容とを付き合わせて、作戦を立ててくださいね」
 いや、その・・・いきなり何を言い出すんですか?
 不意に危険を感じて、出来るだけ甘さを控えめにしてフルーツの取り込まれたメニューを選択する。
 ややあって、出てきたそれは、身長約15cmのレインコート小僧を遙かに凌駕するボリューム。これを絶句せずにはいられない。
 黙々と食うのは悲壮感が漂うので、互いを牽制励ましながら、力には力、で、ひたすら食う。しかしデコレートされた生クリームだけで、既にボディーブローが効きまくりである。もちろん水など飲めば、胃袋のキャパシティを失うだけ。
 おそるべしteam KARUISAWA! こんなものを普段から食っているとは!

 げっぷが出れば甘い香り(うわぁ)の状態で、18号線をひた走り、旧軽井沢からワインディングを登って胃袋をシェイクする。第3弾の「力餅」を食するためだ(まじかよ)
 だが、残念なことにパフェをオーダーできるまでの待ち時間が長引いたことで、見晴らし台の茶店は閉店していた。天の助けか!?
 腹ごなしに見晴らし台を散歩して、ここからの景色を愛でたジョン・レノンのことを思い、そのレノンに憧れている青森県のロードスター乗りのことを対話し、夕暮れの峠でツーリングは解散となった。
 これは明日の昼飯もいらないぞ・・・
 と、練馬周りで帰宅する間に、team KARUISAWAは回転寿司に立ち寄り、3人で24皿を平らげていたらしい。普段なら、回転寿司だけなら驚かないが・・・

 「彼等は化け物だ・・・」

 つくばーど基地にたどり着いても、満腹感は消え去らない。
 東の空におぼろの満月がのぼっていた。