狼駄さんは、スズキエスクードのユーザー交流黎明期の一人だ。その活動開始からことしで20年になる。そんな年回りに何もやらないなんて! と背中を推したりどついたり、たくさんの仲間が期待を寄せていた。
 そしてそれは誰もが、河川敷の風景と雨の情景を思い浮かべていた。

 そんな声に「復活のE‐ACT」を宣言した彼もまた、よせばいいのに梅雨時の真っ最中に第一弾を仕掛ける。
 那珂川河川敷が新たなスタート地点。かつての利根川畔はすでに往時のようなオフロード走行とバーベキューを両立させられなくなっていたからだ。
 しかしE‐ACTと河原は切り離せない。彼はずっとそんなロケーションで仲間を呼び込んできたから。
 そして今や、彼自身の雨男ぶりはE‐ACTの代名詞でもある。誰も抗えない確率で、当日は雨になるのだ。
 だが今回ばかりは夏らしい景色で再開を祝いたいと、嵐田みぞれが久しぶりにハイパーてるてる結界を作った。
 果たして当日の朝は・・・やっぱり雨。だれもが「あー・・・」と思ったことだろう。
 それでも結界の力は徐々に威力を発揮し、現地の設営時には小雨となり、夕刻には涼しげな風が吹き、夜空には雲間から月までのぞくようになった。
 宴会の始まりだ。
 この勢いで未明に再び雨を招くも、それも日曜日に晴天をもたらすための予定調和。明けてみれば梅雨も中休みの真夏日だ。
 初めてのキャンプ参加で訪れる人、差し入れを持ち寄る人、久しぶりに顔を見せる人。宿泊組に加えてたくさんのエスクード仲間がやって来る。変わらない顔ぶれも、新しい友人たちも、20年目の焼肉・ネギまみれを待っていたのだ。
 7月の始まりは、こうして賑わいの中にあった。次回が晴れるかどうかは定かではない。雨の降らないE‐ACTなんて! という声だってあがるかもしれない。
 そのときはそのときだ。