そしてやっぱり歓迎の雨音

 E−ACTの最初のコミュニティーは、林道ツーリングとキャンプとバーベキューだった。エスクードでできるオフラインミーティングのスタイルの一つとして、シン大尉/狼駄という1人のユーザーが、長く続けてきたイベント。古いエスクード乗りが一度や二度は、彼の焼き肉“葱まみれ”に舌鼓を打ってきた。
 そのE−ACTが突然、昨年暮れの忘年会で閉店となり、気がつけばホームページががらりと改装されている。
 そのタイトルは「ENCOUNTER」とあらためられていた。これはいったいどうしたことかと、やきもきしているところへ、初会合を開きますよと、遂に声が上がった。
 いつもの河川敷にでかける。おあつらえ向きの雨。伝統的に彼が雨男という説と、オフラインで幹事がデビューすると雨が降るというジンクスとが、この日とばかりに狙って降ってきた雨。
 だから「さすがに寒いねえ」とは言っても「なんだってこんな日に」と嘆く参加者が、1人もいない。

 「のんびりまったりと、来てくれる人をもてなして、ゆったりした時間を味わってもらいたくなったんですよ。それは、やっていくこととしては変わらないけれど、何処かへツーリングしたり、クロカンをやってという以前のエスクード・アクティブとは、やっぱり違うから」

 シン大尉は、はにかみながら言った。
 それが、新装開店の意図するところ。でも確かに、何も変わっていない。変わったところがあるとすれば、集まってくるエスクードの世代と、新しい顔ぶれが見られること。その反面、馴染みの顔ぶれを紹介していくシン大尉のエピソード披露は、どこのエスクードコミュニティーよりも層が厚い。
 なんとなく、護りに入った?
 実はそういう印象も、感じることは感じる。
 白いコンバーチブルで颯爽と乗り付け、スタックすることをおそれなかった。夜通し走って林道や海岸線を目指した。そんなやんちゃ坊主な部分は、どうやら、もう滅多には見られないようである。まあ、それは別の機会がいくつもあるから、ENCOUNTERは、シン大尉でなければ絶対出来ない楽しさを強めていけばいいのだ。そしてそれを、集まった誰もが望んでいる。
 絶妙の天気の開店日は、こうして夕暮れが迫るまで賑わった。