2009年5月3日、またことしも大陸を目指す。
 「これだけ毎年出かけていくと、そろそろ見てくるものもなくなっているのでは?」
 そんな問いかけをされるが、自慢にもならない話、三度や四度ではとても見て回れないのが、みちのくの面白いところで、今回から忘れ物を集める旅に出てみようと思い立った。
 寺山修司記念館には、昨年三沢にまで足を伸ばしながら、時間の関係で立ち寄れなかったし、大潟村の交会点にも、真夜中の到着で何がなんだか解らなかったのがこれまでの経緯だ。
 そして毎年、桜前線が津軽海峡を渡る前に追いつけるという楽しみもあったが、ことしはあわや、間に合わないかもしれないと、前線北上の速度にあわてていた。
 これに加えて、2年間暫定措置が執られた、地方高速道路の1000円定額料金も手伝い、各地で人手の多さと混雑も、今回の特徴だったかもしれない。
 詩人の新婚時代の住まいと、“ソウル・フード”とまで街の人が絶賛しているベーカリーに、ことしは新に立ち寄った。どちらもSSレイドやEレイドに採用されることになっているので、詳細は伏せなくてはならないが、詩人宅は民家を間借りしていたものだ。2つの八畳間はそれぞれ両親と妹に与え、自らは四畳半での生活を送ったというが、この家には僅か3週間しか住まなかったそうだ。
 街のパン屋は、1948年の創業。牛乳1本とパン1個で満腹になれるよう、学生向けに大きなコッペパンを安く提供し続けている。この街に育ち、或いは住んだ人の多くは、一度はこのパンを食べているといわれている。今ではクリーム系28種、 惣菜系13種を品揃えしており、好きなものを選んでサンドしてもらえる。
 駆け足で帰路についたため、野菜サンド、コンビーフサンド、一番人気のアンマーガリンをほおばりながら、東北道を南下する。土産に抹茶クリーム入りのクロワッサンを買ってみたが、抹茶は仙台産の一品を使っているという。
 振り返ってみれば、集めもらした忘れ物でいっぱいのみちのく。もはやライフワークの域なのかもしれない。