時に西暦2006年、増えすぎた羅須軽小僧たちは安住の地を求め、
 羅須軽党の独立宣言を伴い、つくばーどに対して武装蜂起した。
 たかが110体程度の羅須軽党だと侮っていたつくばーどは、
 ものの数時間で壊滅を喫したのである。
 つくばーどの反攻作戦から切り札を死守するため、
 ひとつの小隊が敵陣を突破しようとしていた・・・


 「し、少佐ぁ。味方の陣地はまだですかぁ?」
 
「もうだいぶ歩いてますけど、本当にルートはこれで良いんでしょうね?」

 「ふん、認めたくないんだよ。たとえ子供じみていてもな」

 
「あっ、やっぱり道に迷っているんだ!」
 「たかだか直径6kmの筒のなかを回転方向に直進していて、どうして迷うかなあ・・・」
 
「少佐って、けっこう運がないよね」

 
「うるさいぞ、私を誰だと思っているのだ?」

 
「誰って・・・その台詞の色で見え見えですって」
 「そうそう、かつては“らべんだいざー”と呼ばれた男なんでしょ?」

 「好かんな。そういう、初めて見る人に理解できないギャグというものは」

 「そんなことより、腹が減りましたよ。少し休みましょうよ」
 
「賛成でーすっ」

 「やれやれ・・・新兵を抑えられんとはな。仕方がない、状況は昼飯だ」

 
「よーし、レーション出せ」
 
「おいらのバックパックを開けてくれ」
 
「おい、なんかこれ、教科書が入っているぞ」

 「なんだと? V作戦の機密ファイルを奪取してきたはずだ。ちゃんと捕獲したんだろうな?」

 
「いやーそれが、どうも間違えているようです」

 「冗談ではない! 今さら手ぶらで戻れると思うのか!?」

 「晩餐、無駄になっちゃいますよねえ」
 「心配ないですよ。つくばーどの芽はちゃんと摘み取ってありますから」
 「え? そうなの?」

 
「そうか。それなら安心だ。しかしそれらしきものは見あたらんが・・・」

 
「これですよ、これ。バックパックにささっているでしょ?」

 「こ・・・これは・・・つくしではないか!?」

 「つくばーどの芽、だからTSUKUSEED、なんちゃって」
 
「おおっ、なるほどなーっ でもそれだったら芽じゃなくて種だろう?」
 
「この際細かいことは気にするなよ」

 「き、きさまらーっ! なぜたーっ!!」





   「ふん。坊やだから、だろう?」