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秋の旅では見ることのできなかった景色。それを、ふと眺めたくなった。 水田に貼り絵をしたような、風神と雷神。数種類の稲を植え分けることで描いたものだという。
どうやって? 本当に“その形に見えるのか”?
気になりだしたら、確かめずにはいられない性分だ。だから再び、あの小さな大陸を縦走することとした。
有明のコンベンションセンターをあとに、東名には向かわず、そのまま浦和料金所へと走り出す。そこから先は、特筆することのない淡々とした時間だ。
花輪SAまで約600kmを走って、54リットルを給油する。黒石を過ぎたあたりで、オドメータが110,000kmを刻んだ。36,000kmからのつきあい。これが3度目の青森行き。もう名実ともに、自分のエスクードと言っていいだろう。
田舎館村の風神と雷神に、それだけの価値があるのかと問われれば、自分の中では「あったぞ」と即答できる。
木造町で出土した遮光器土偶の前衛的な造形と言い、ねぷたの躍動と山車の豪快さにも通ずる、縄文のいたずら心が、津軽の土地には時代を超越して息づいているかのようだ。
この景色を眺めたくてやってきた。逆に言うと、この景色を心ゆくまで堪能すると、ほかに行くところが無くなってしまうのだ。計画性のない旅の、それが唯一の困りどころ。
とりあえず弘前の街へ戻る途中。そういえば・・・ と、ここでまたふと思い立つ。
前回の旅で、岩手県の竜が森にて、北緯40度と東経141度線のクロスポイントに立ち寄った。
聞けばあれは、秋田側の大潟村にもあったはず。大潟村のクロスポイントモニュメントも立ち寄ってみたい。
そこで秋田を目指そうとするのだが、Sレイドの新しい課題の場所が、青森市内に設定されていた。弘前の町並みも眺めているうちに、時間はいたずらに過ぎているのだが、。
ここから青森に回っていくのは、秋田とは逆方向。それでもせっかくここまで来ているとなれば、小一時間の距離を北へ向けてしまう。しかも昼下がりの港の景色は、のんびりしていけと昼寝を誘惑するのどかさ。
こうなると、もう本当に出たとこ勝負。そして当然、昼寝と引き替えに、時計はひとりで針を進めてしまう。
大潟村の干拓地にたどり着く頃、とうに日は沈み、日本海に面した空の色も青から闇の色へと移り変わっていた。
絞り込んだスポット巡りだけでも、普段とは距離圏が違いすぎる。秋田側のクロスポイントは、今回はタイムアウトで失格ゴールとなってしまった。
まあいいさ。また、もう一度、ここへやってくるための理由はできたから・・・
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