☆Roof is opened.  幌を開けた


 夏日の天候に恵まれたゴールデンウイークの前半、レザートップの材質も柔らかくなっただろうと、シン大尉が幌の脱着をレクチャーしに来てくれた。これまで、はまたにさんが作成してくれた動画による脱着手順を頭に入れていたが、実際に外すとなると、15年経過して劣化している部品の破損が不安で、幌が硬化している冬場はいじることができなかった。
 案の定、最前部のフレームに幌を固定するフックは半分以上折れていたし、右サイドのサブフレームを固定するフックも折れていた。
 「幌そのものよりも、こうした樹脂部品のほうが脆いです。純正の幌は、案外丈夫なんですよ」
 などと話しながら、シン大尉はものの5分で幌を取り去ってしまう。エスクードの幌は、メインフレームとサブフレームに幌自体をかぶせ、ベルクロ、ホック、ファスナーで固定する。この構造が非常に簡単にできており、外すだけなら慣れてしまえば手間ははかからない。
 1人でやってみると、12分かかっていた。外しただけで“着”のほうはまだ試していないが、15分程度で可能だろう。オープンモードとなったエスクードは、それまで見慣れていたハードトップ(ソフトトップ)スタイルから大きく変化する。20年近く屋根付きだけに乗ってきた僕は、今さら乍らに新鮮さを覚える。
 2型からは、後部座席が3点式シートベルト(1型のみ2点式)に改良された分、ベルト用のアンカーが目立っている。大人の男がオープン状態の後部座席に乗るのはサマにならないが、ハードトップよりも頭上がないだけ居心地が良いという。自分でも試してみたが、開放感がある反面、市街地や高速道路などの衆人環視や風圧の強い環境では、後部には乗りたくないと思った。
 大人4名乗車でも、短距離の登坂ならばストレス無く走ってしまうのが予想外だった。もともとG16Aとショートボディの相性が良いのだろう。ただし、直後にNONNONさんのハードトップ(5型)を運転させてもらったが、後部にボディがあるか無いかの剛性感が圧倒的に違う。コンバーチブルだからエスクードのライトウエイトさが一番、ということには成り得ない。それぞれの良さと面白さが住み分けられている。
 後日、オープンモードで300kmほど走ってみた。当たり前のことだが、風の巻き込みは後方から後頭部にやってくる。風きり音については、これで「無い」だったらどうかしている。故にそんなものは気にせず、100km/hの巡航は快適にできる。注意すべきは、高速走行時の横風で、巻き込みによってかなり揺さぶられる。
 
 頭上と背後に屋根がないということは、言わずもがな直射日光と外気温を無視できなくなる。雨が降ってきたら潔く覚悟を決めるしかない。実際、15分ほど小雨に降られたのだが、意外にも40km/h以上の速度が出ていれば、豪雨でもなければ室内に雨が降り注ぐことはない。もちろん、渋滞したり信号停止したらお手上げとなる。今回は停止せずに走り続けられたので、ぬれねずみにはならずに済んだ。
 外気温の変化には要注意だ。風の流れのせいか、足下から冷えてくる。ヒーターは夏場でも夜から早朝にかけては必需品。

 実は、風の巻き込みと直接入る日ざしを別にすれば、幌を外して走っているということは意識しないでいられる。ドアフレームがAピラーとBピラーをつないでケージ状態の前席になっていることや、Bピラーの太さのためだろう。後方視界は相変わらず良いとは言えないが、気軽に乗れるエスクードのバリエーションであることは間違いない。