大役を果たしてくれたXS
それぞれの持ち味と在るべき処
 瀕死のBLUEらすかるを根気強く修理し、土壇場でXSを貸与してくださったディーラーさんには深く感謝しつつ、感謝している割には好き勝手に走り込んでいました。
 重なるフィールドもあれば、相容れない素性もあり、それは当然、TD61W側にも同じことが言えます。どちらかをどちらかだけの土俵で語りきることはできない。それくらい、初代と3代目の最大の魅力は、別の処にあるような気がします。いや、言い切ってしまえば、どちらもただ四輪駆動の自動車に過ぎないんですけどね。
 各部をいじっているBLUEらすかるに対して、オールラウンド性能では、らいのすことXSにハンデがありますが、基本性能の高さによって、これは相殺されます。修理を終えたBLUEらすかるで、同じ裏山に駆け上ると、圧倒的に軽快。それはその通りで、裏山の舗装区間ならばFRの方がずっと楽しいから。そのまま未舗装区間に飛び込んでも、ここぞの場面で四駆へと切り替えられる。らいのすも、ずしりとした車体の安定度によって、ぬかるみの路面を踏み越えてくれます。それでも、まだ操作の未熟な僕には、間に入る電子制御がもどかしい。
 それらの持ち味は、馴染んでいくことで手足の動きに近くなっていくのだと想像できます。3代目は、大人っぽいSUVに成長していながらも、手元に置いておけば充分に愛すべきエスクードになり得るでしょう。でも、BLUEらすかる・TD61Wの魅力の前には、まだときめきは足りません。フレームを溶接し直してでも、エンジンを載せ替えてでも、走らせ続けたい衝動が、BLUEらすかるにはあるのです。そういうのを、変人だとか、偏屈だとか言うのですが、きっと自分以外の誰にも理解できないことなのです。
 つくばーど7号車の任は極めて短い期間でした。しめくくりが61Wの軍配というのはいささか不公平ですが、必要にして充分な働きをしてくれたXSは、お勧めできる優れたSUVであることを報告します。
 そしておそらく、まだ見ぬ4代目が存続するとしたら、プラットホームさえ一新される可能性もあるでしょう。TDB4Wがエスクードとして認められる最後の世代になるとすれば、将来は再びつくばーど採用の日が訪れるかもしれません。