昨年の満開日が連休中だったから、そこを狙ってつばーどを企画しようとしたら参加者を募っても反応が薄い。やはり遠すぎるか弘前の花見。それでは仕方がないと、リンゴの開花の季節にツーリングでもやろうかと下見のために北上。すると台風並みの低気圧も北上。各地で高速道路も止まっている5月4日、どうなることかとリンゴの街に来てみれば・・・
 5月2日から3日にかけて、例年通りに満開となった弘前城址公園の桜は、襲来した低気圧の風雨によって壊滅状態に近く散ってしまっていた。
 それでも公園周辺の人だかりは例年とたがわずの賑わい。昨夜の風雨はすさまじかったようだが、花を散らすだけ散らしてしまった後は、妙な表現だが穏やかな小雨となっていた。
 しかし今回は花見に来ているのではない。弘前と言えばリンゴの街。リンゴの花の季節にツーリング企画を立て直すべく、弘前在住のみっついーさんと打ち合わせをする。それにしても彼女と会うのは6年ぶり。元気な二児のママになっている。

 「そういう企画なら、りんご公園でお茶も食事もお土産もばっちりで、あとは泊まるところの見当ですね」

 このレスポンスがありがたい。ベースキャンプを確保できれば、青森のツーリングはかなり枠を広く考えられる。
 という打ち合わせは、再会する前にだいたいやってしまったので、お勧めと言われているアップルパイを楽しみに、りんご公園をめざす。
 今回はもう一人、連休を使って陸前高田に来ていたマーティーさんとも合流。彼は昨年秋にふもとっぱらで会っているが、日頃は富士山の裾野にいる人が東北に来ているとなれば、再会せんでどうすると予定を割いてもらったら、弘前へ向かう東北道で追い越してしまった。

 「沿岸はことごとく町が消滅してしまったんですね。昔、仕事で福島県にいたことがあるだけに、じかに被災地を見るとショックです」

 しかし東北は大陸の広さで日本海側の良さもある。せっかくなので、八郎潟にある「日本一低い富士山」への登頂をお勧めする。
 こうして初代のBLUEらすかる、みっついーさんの二代目FISリミテッド、マーティーさんの三代目ヘリーハンセンリミテッドが勢ぞろいするのだが、

 「私の動体視力によれば、いまBLUEらすかるとすれ違ったような気がするんですけど」

 という、予想もしなかったメールが携帯電話に着信した。市内から公園に向かう途中で、こちらを見つけた人がいるのだ。
 誰だっけ、このアドレスは・・・と思ってプレビュー画面を受信画面に切り替えたら、なんと、普段なら沖縄にいるはずのマミポコさんであった。
 いや、それはもう素直にびっくりだけれど、そういうことがあるのか? というより、こういうことが起きるのが、みちのくになのだ。
 マミポコさんは全く偶然にも、お母さんと二人、桜見物で三沢からレンタカーを使い、十和田経由で弘前に来ていたのだという。

 リンゴの街は、再会の街でもあった。
 実際のところ不発となった春の弘前プロジェクトは、これで成功と言ってもいいのではないか。
 コーディネートをしてくれたみっついーさんにも、嵐の中予定を合わせてやって来てくれたマーティーさんにも感謝しなくてはならない。
 桜前線は海峡を渡っていき、青森県には青い森の風景が広がり出している。やがて夏を過ぎればリンゴの花が咲き乱れる。
 それまで待っていられないよという、ジョナゴールド種の枝には、明日にも開花しそうなつぼみが膨らんでいた。