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自分自身の挙式に雨をも招く。意外なことだったが、ふっじいくんに雨男の疑惑が浮上した。いやそうではなくて、婚礼を羨む人々からのご祝儀天気であるとか、ひやかし部隊が乱入するからだとか、諸説紛々の9月12日。見事に日本列島の大半が傘マークで覆われた。
しかしそんなことくらいでひるむようなふっじいくんではない。いつものようににこにこと式場に現れる。それでも、そわそわした雰囲気はいつも通りではない。
「いやー、何しろ今日は初めてのことばかりなもんで」
「当たり前だー! おめー、経験者だったら大問題だぞっ」
「それにしたって挙式日になんてかっこうしてくるんだ。さっさと着替えてこんか!」
「いやいやそのままでいいから、それで祭壇に立つのだ」
「そ、それは勘弁して下さいよー」
あまりにも普段通りな新郎・ふっじいくんに対して、まったくいつも通りでないドレスコード(でも平服だけど)のひやかし部隊は、一時的には雨が上がるという天気情報にもやきもきしながら、ランドクルーザー70にデコレーションを施していく。妙高のつくばーどで行った車上の新郎新婦を再現したかったのだが、それは変更せざるを得ない。かわりに羅須軽小僧と風船を使っての記念撮影大道具づくり。それがひやかし部隊の任務だ。
「神聖な儀式にこんなことしていいのかなあ」
「これをやらずしてなんの結婚式! ペール缶くくりつけるよりは確実に笑いを盗れる」
「だけど新郎、車の中にペール缶持ち込んでるよ。やる気充分だよねえ」
かくして挙式と披露宴の間をつなぐ、予定にあったかどうかが甚だ怪しいイベントが設営された(予定に入ってますからね)。普段だったら異様な風景も、羅須軽小僧の知名度が幸いして、笑いは盗れていた。
「でも、どうしてラスカルなの?」
新婦・りょうこさんはそれを知りたかったようだが、そのあたりの説明は新郎のお仕事ということで。飯綱の高原にはほんの僅かな時間、雨のおさまるチャンスがやってきた。
ご結婚おめでとう。末永く笑顔と幸せに包まれますように。 |
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