「ヒガハスに行きます。どなたか迎撃して下さい」

 長野県在住の通りすがりの正義の味方さん(長いので以降は“味方さん”)は、いわゆる“撮り鉄”の鉄道ファン。この3月のダイヤ改正で退役するという電気機関車EF81を撮影するため、埼玉県までやって来るとの連絡があり、折しも所有しているノマドの故障や破損で悩んでいる味方さんのつぶやきも手伝って、
 「蓮田なら桶川が目と鼻の先だ。拿捕してしまえ」
と、有志による作戦行動が繰り広げられた。
 味方さんのノマドはこの日までにオルタネータやパワーウインドーの故障が相次ぎ、それらを地元の車屋さんが修理してくれたものの、今度は昨年末からの豪雪で、軒先から落ちてきた雪の塊によって屋根全体が大きくへこんでしまった。そりゃあ意気消沈ものだろう。あそこなら何とかしてくれるはずと、 案内したのは、ドクトル・エスクードことフジ・オートの渡辺代表の仕事場。
 お店を訪ねると、青影さんととにぃさんが、入荷しているTD62WとTA02Wを見学に来ていた。2人ともさすが2代目乗り。この2台のエスクードが、双方、なかなか稀少部類であることを熟知している。そのレクチャーを、真剣な面持ちのこし亀さんが聴いている。なんだか春の予感がする。
 渡辺代表を交えて、エスクード談義(相変わらず仕事の邪魔をしている我々)。古いエスクードは古いなりに壊れたり壊
れなかったり、直したり取り替えたりがユーザーの日常なのよと、みんながみんな、味方さんを励ます。味方さんは、いずれ3代目エスクードに乗り換えてみたいという考えを抱いている。その用途に一番ふさわしい世代のエスクードは何なのかを、資金調達しながら検証する時間が欲しいところへ、屋根のトラブルだった。
 「それじゃあ、その時間を作りましょうね」
 渡辺代表はデントリペア用の吸着盤を持ち出してきて、べっこりとへこんだ屋根パネルの要所要所を引っ張り上げる。大がかりな板金を覚悟していた味方さんは、ドクトル・エスクードの作業に、キツネにつままれたような顔をしていた。

 昼飯に出かけた東松山のキッチンカフェ・くらんぼんでは、意外な合流があった。
 かつてノマドに乗り、今は2型のTD54Wに乗る彩雲さんが、初めて立ち寄ってくれた。これまでネット上での交流に留まっていたけれど、パーツを提供してくれたり、林道情報などを聞かせてくれる、重要なサポーターなのだ。クロカン四駆に関しては、我々は足元にも及ばない。彩雲さんは、味方さんの関心を受けて、54Wの試乗も買って出てくれた。
 TA01Wさんとricoさんご夫妻も駆けつけてくれて、味方さんの拿捕作戦は想定以上の成果を得ることができた。解散の頃には翌週の長野ラッセルと山梨夜会の打ち合わせも始まっていた。ことしは実に出足の良い1月に感じられた。