2011年の春以来、福島市から米沢市にかけての林道ツーリングをやろうと、パジェケンさんと相談していたものの、なかなかこれが実現できなかった。
 地元では山菜採りで有名なルートと、そこから分け入る枝線を走りつなぐと、四駆でなくても楽々に走れるステージから、ある程度準備をしていかなければ脱出困難な区間まで、きわめて狭いエリアながらいろいろなコンディションを体験することができる。
 しかし福島と米沢。最近のエスクード乗りは、車の性能が上がっているのと反比例して、遠出をしたがらない属性が色濃くなっている。
 これはきっと、高速道路1000円などという旨みを経験してしまったからだろう。嘆かわしい。来年度には日曜祭日の半額サービスもなくなるというのに。
 そうなったら、東北になんか、誰も来なくなるのではないか。いやまて、その東北在住のエスクード乗りの、ノリも悪い。振り返ったら、東北で開いているイベント参加者のほとんどが、東北人主体ではないのだ。

 「いやいや、今回、告知も宣伝もしていない僕が悪いんですよー。夏か秋には林道を加えたFレイドを企画しますからー」

 と、パジェケンさんは恐縮しながらも、「今の季節に走らないと、確かにもったいないルートではありますねえ」ともつぶやく。
 周辺の高い峰々にはまだ残雪のコントラストを遠望でき、至近距離の風景は鮮やかな新緑。多少の藪があっても、新芽はやわらかく車体をなでる程度だ。ハードコンディションのルートも雪解けのぬかるみがなくなり、下腹をぶつけないラインを選べば、それほど怖くない(まあそういう場所に限って、面白がってしまって写真を撮っていないんだけれど)

 県境を越えたり戻ったりしながらの林道は、何本かのルートを複数通りに組み合わせられる。その一角に、レストハウスがあり、バーベキューやらジンギスカンやらまでできてしまうところが、考えようによっては侮れない。
 半日遊んで数十キロの道のりを行ったり来たりして、これが市街地から10分そこそこで入口にたどり着ける。ふと気が付くと、標高も800m近くまで登っている。
 面白いぞ、福島市郊外。
 この界隈は、午後から集合して夕暮れまで遊んで、市街地の夕景を眺めてから下山がよさそうだ。しかしすると、一泊したくなるわけだが、温泉もあるので問題ない。
 うつくしま福島は、健在なのである。