福島市から米沢市にかけて走る国道13号線では、長さにして東北一の栗子トンネルが建設されている。
 これがあと3年くらいで開通すると、福島と山形の県境越えは今よりずっと便利になる。 が、林道ツーリングのルートにはあまり関係のない話で、雪が降ったら閉ざされてしまうし夏場は視界ゼロの藪がはびこる。
 もちろん道を分断している川筋に橋などかけてもらえない。
 いやいや、4月中旬から5月の短期間は、崩落でも発生しなければ走りやすく快適な森の中を進むことができるのだ。
 そんなチャンスを不意にできるものかと、ことしもパジェケンさんの案内でツーリングに出かけた。
 今回は2台きりではない。のまちゃんこと新月さんと風花さん夫妻のノマドも一緒に走る。
 これを追いかけて、青影さんのAX‐1もやって来る。おお、3回目にしてなんとかイベントらしくなってきたではないか。

 「だけど地元のエスクード乗りさんが来てくれないんですよ」

 とパジェケンさんは残念がる。そこはまあ、もっと精力的にコミュニケーションをしていかなくちゃ。
 
 「今日のツーリングについて言えば、埼玉から福島って距離はね、妙高高原に日帰りで行って来るのと同じなんだぜ」

 新月さんが、南東北と言っても福島はそこそこ遠いということを教えてくれる。でも、昔のとん汁ツーリングは日帰りだったんだけどね。

 「あっ、妙高を一泊イベントにしちゃった俺が悪いのか」

 「今は埼玉都心から秩父に行ってきて疲れた連発するご時世だから。まあ林道走ってバーベキューやって、ビール飲みたいというリクエストは高いかもしれない」

 このあたりが福島イベントの課題。今回のツーリングはフラットダートのルートを主体に、40キロに少し足りない程度を走ったが、このエリアはまだ走り込めるルートが他にある。一泊は確保したいところなのである。
 うつくしま福島は、今こそその魅力を取り戻さなくてはならない。などと復興の話を持ち出すつもりはない。だって、来ればわかることだもの。