100台のエスクードを夢に見る
古参のエスクード乗りが目指したもの
 何ができて何ができないのかと言えば、本項をまとめている2009年の夏になってもできないことの方が多いが、それこそ何をやればいいのか全般わからなかった時代。そんなときは、余所のオフラインミーティングに参加させてもらい、能動的に関わっていくしか結果が出ない。時間と都合のつく限り、家事を放り出して出かけていくシーズンとなった。
 多くの乗り手が、その得意分野でミーティングやツーリング、オフロード走行会を開いていたが、それらの起点は「最初は集まってみよう」から始まるという共通項を持っている。その中で「いつか、100台のエスクードを並べてみたいわけですよ」という願望を聞くこととなる。
 これは、1人で出かけ、独りでスタックして、自力で脱出していた、それができないと帰ってこられなかった経験の中には無い、若々しい声だった。そして彼らはオンラインにおいては、その目標を遙かに上回るコミュニティを楽しんでいる。しかしインターネット上の交流だけでは、彼らは満足していなかった。
 どうせやるなら100台。車のコミュニティとしては、それは小振りだと思うが、100台というちょっとハッタリも交えた願望は、当時は壮大な目的であったし、10年経っても成し得ていないのだから、一筋縄ではいかないことは確かなのである。
 ざっくり10年はかかるだろう(かかったけどできていない)と考えた当時、それを実現していくためには、持続していくことが前提条件だと感じた。エスクードも四駆のはしくれだ。10年間、モデルは再び変わるかもしれないが、この車の人気(当時。既に2代目が誕生している)は定着しているだろう。問題は、この頃10年目を迎えていたエスクードに、今後10年乗り続ける人がどのくらいいるのか、その中に自分は収まっているのか。想像ができなかった。
 想像がつかないこともまたよし。わかりきったルートを行くよりも、案外面白いかもしれない。ひとまず10年、エスクード仲間の活躍を見聞していくこと、それを目標にしてみよう。ここにスタートラインを引くこととなる。
 この頃、TA11W・らすかるはまだ12万キロ程度の走行距離。この個体が月軌道を目指すことになるとは、やはり考えもつかない頃のことである。