「三浦半島につくばーどを招致したいので、実証実験におつきあいください」

 和邇さんとエスクードОBのエス爺さんからお誘いがかかり、横須賀市の津久井浜まで出かけた。
 三浦半島は単独のツーリングや美味しいものの食べ歩きに適しているが、大勢で定点でのイベントとなるとなかなかきっかけがつかめない。
 それを一挙解決するというコロンブスの卵は、海軍カレーにトッピングされるゆで卵ではなく、南斜面にすずなりとなっているミカンであった。

 「うちのミカン山は600坪に200本植えてあります。和邇さんの頼みとあらば、その1区画を提供しますよ」

 という果樹園ご主人のはからいにびっくり。どれくらいの規模かというと、裏の畑も含めたつくばーど基地2個分がすべてミカンで埋め尽くされている勘定だ。そのうちの一区画とは、まあほとんど基地1個分のの表庭以上である。

 「そのかわり、とり尽くすまで帰れないよ」

 などと和邇さんとエス爺さんがにやにやする。参加者がどれだけいても受け入れ可能で、バーベキュー用のサイトまである。
 これは実証の必要などないだろう。
 来週にでもしかけても良いじゃないかと思ったが、ことしはシーズン終了で、この実験のために1区画を残しておいてくれたらしい。

 「ひとまず入園料は設定するとして、とり放題と食べ放題。それだけでは面白くないので、一袋分だけ、主催者が決めた目方にいちばん近い人が優勝ってのをやりましょう」

 おお、なんと買い出しトライアルまで同時開催できる素晴らしい企画ではないか。
 というわけでこれを実証実験すると、指定された目方通りに一袋を仕上げるのがとてつもなく難しい。しかし実際に和邇お嬢・妹さんが作った一袋は、見事に指定の重さとなっていた。

 結論を言うまでもなく、津久井浜企画は十分にオフラインミーティングとしての魅力を有している。
 来シーズン、正規版の第1回目を開催することを約束し、完熟したミカンを贅沢にも食い放題させていただいた。